第14話 聖女様は企てたい②
神殿──それは、この世界の神と、その御使いである聖女を信奉する、国という枠組みを超えた世界的組織である。
その活動内容は医療や社会福祉を始め多岐に渡るが、神殿と聞いて人々が一番にイメージするのは、神の御使いである聖女様が住まう場所、であろう。
主に仕える騎士や侍女のように聖女に献身し、その存在の全てを護り支える──それが神殿である。
良く言えば聖女を守護する強固な城であり、裏を返せば聖女を囚える堅牢な檻である。
事実、私が調べた限りでは、歴代の聖女様は救護や慰問といった御役目以外では、外出したという記載は見つからなかった。……マジですか……。
いやまあ、王女様や貴族のお嬢様は出掛けるといったらお茶会や夜会といった社交の場ばかりで、街に遊びに行く、みたいな事は殆どしないみたいなので、王侯貴族出身者の多い過去の聖女様方が、お出掛けしないのも当然といえば当然なんだけど。……マジですか……。
まあ確かに、要人が外出するとなると警護計画とか出先側の受け入れ準備とかいろいろと大変だし、そもそも出掛けないのが一番の安全なのは分かるけど。……マジですか……。
という事はつまり──聖女が私用でお出掛けするのは、いろいろと不味いみたいである。……困った。
いつまで続くか分からない
そもそも歴代の聖女様がお出掛けしなかった理由の一つであろう、聖女が欲しい物があった場合、神殿(私の場合は巫女長である)に言えば、常識の範囲内であれば大抵の物は手に入る、らしい。なので買い物に行く必要は無いのである。うんまあ、通販と考えれば便利ではあるよね。
でも……私が頼むのはあの、生真面目を絵に描いたような巫女長である。……絶対に何に使うか聞かれる……絶対にだ!(謎の信頼感) アイスの材料である牛乳なら「好きな時に飲みたいので」と言えば、特に疑われる事は無いと思う。でも砂糖──もう言った瞬間に「何にお使いになるのでしょうか? 聖女様」と、あの無表情の圧が飛んで来るのは目に見えている。というかもう想像しただけなのに胃がキュッ、ってなったよ……。それに知り合いに逐一中身と用途をチェックされるとか、そんな通販私は嫌だ……。
となるともう──抜け出すしかないよねっ♪(そうはならんやろ的発想)
という訳での
とはいえ私は《転移魔法》が使えるので、外出するだけなら実は簡単だったりする。問題は────。
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