第4話 聖女様は長湯したい③

「は〜〜、美味しかったぁ……」


 久々のゆっくりとしたお風呂とバニラ風アイスを堪能した私は、心と体が甘い幸せに満たされ、このままアイスのようにお風呂に溶けてしまいそうな、緩やかな多幸感に包まれていた。


 う〜ん、どうしよっかな〜……今日は特別だし、おかわりいっちゃおうかな〜?


 聖女にあるまじきほんのりと悪い笑みを浮かべ、ゆらゆらと湯船に浮くお盆に乗る空の容器を見詰める。その時、さっきまでこれでもかと揉み揉みしていた私のお御足みあしが、視界の端に映る。


 女の子らしい柔らかな曲線を描く、すらり、と伸びたカモシカのような脚(自己申告)。

 神殿に来る前と比べて、よく言えば女性らしくなった成長した客観的にぶっちゃけて言うと肉付きの良くなっ丸みを帯びた、私の、すらり、と伸びたカモシカのような脚(自己申告)。


 親指と人差し指で、ほっそりとした、私の柔らかくてすべすべな太もも(自己申告)を、ふに、と摘む。


 ふに。


 ………。


 ふにふに。


 …………。


 ふにふにふにふに。


 ……………………。


 ふにふにふにふにふにふにふに。


 ………………………………………いやいやいや。


 こ、孤児院時代が細すぎただけで、私の年齢なら、こ、このくらいが標準的……な、はずっ……!(震え声)

 私の記憶にある、同年代の日本の女の子達もこれくらい……だった……と思う……(小声)。

ちなみにこの世界の標準は分からない。だってみんな基本ロングスカートだからね! ……地球みたいに年代別の平均が簡単に分かるのって、地味に凄かったんだな、って……(若干涙声)。


 それにっ! 確かに食事は孤児院にいた頃よりも安定はしてるけど、神殿なだけあって基本質素! 豪華な食事とかは無い! 例えばお肉とかお肉とかお肉とか! 少なくとも私は食べてないっ!


 ……えっ? じゃあなんで太っ……んっんぅ。ちょっと喉の調子が……。あ、あー。テステス。


 ……んっ、そういえば! 孤児院時代は料理とか裁縫とか魔法でチートとか、なんだかんだで肉体労働はあんまりしてなかったけど、聖女の御役目お仕事であっちこっち行ったりして結構歩くようになったから、とか? だから脚が太…………んー、んっんぅ。やっぱり喉の調子がいまいちっぽいかなー?(棒読み)


 ……あー、あれだね。あんまり長湯しすぎて体調崩すのもあれだし、そろそろお風呂上がった方がいいかな……? ……何だか目に、やたらと水滴が溜まるしねぇ…………。


 ……関係ないけど、今度魔法でサウナとか作ろうかなぁ…………。

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