第11話 第十一転生
俺の目の前にはただ真っ白な空間が広がっていた…。
かろうじて空と地面の境界は見えるがそれもぼんやりとしている…。
「どこだ…ここは…」
小声で呟く俺の声は虚しく搔き消える。
なんでこんなことに…?一体どこなのだここは…
俺は必死に…記憶の糸を辿りよせる…。
「お…思い出してきたぞ…」
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俺の名は…IKUMI。
都内のライブハウスに通うごく普通の17のバンドマン…。
ライブ中、客席にダイブしようとした瞬間コードに足を取られバランスを崩し客の女の1人に頭をぶつけてしまったのだ…。
最後の記憶は…倒れて意識が薄れていく俺の顔をペロペロと舐めている頭から血を流した女と
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「ふっ…」
安心すると同時に、不安と恐怖が襲ってくる。
「…」
「…ということは」
「俺は死んで、ここは
「違うよ☆ここは煉獄だよ☆」
突然頭の中に甲高い声が響く。
「!?」
キュポポーン!
奇妙な音と共に突然目の前に、猫のような狸のような、ヌイグルミのような丸い生物が現れた…。
「やあIKUMI☆!」
「お前は…?」
「ボク☆の名前はキュポポン☆」
「ヌイグルミが…喋るとはな…」
「ボク☆の名前はヌイグルミじゃないよ☆!キュポポンだよ☆」
「名前などどうでもいい…お前もスレイブになりたいのか…?」
「キミ達ニンゲン☆の世界では天使とか呼ばれてる存在さ☆」
「天使…」
頭がこんがらがる…。
しかし、どうも俺が死んでしまったのは確からしい…。
「この煉獄☆ってのはね、天国に行く魂が一時待機する場所さ☆」
もはや俺の頭の中にこのヌイグルミの言葉は入ってこなかった。
俺は…死んだのだ…。
「でもね、ダイジョーブだよ☆」
「
「て…転生…!?」
転生…生まれ変わり…。前世の記憶を持ったまま生まれ変わった人生を歩む…そんなことが出来るのか…?
「どうする?転生してみる?」
「するしか…なさそうだな…」
「オッケー★んじゃ行ってらっしゃーい☆」
ヌイグルミの言葉と共に…俺は光に包まれ意識が遠のく…。
俺は…転生して…今度こそ幸せな人生を送るのだ………。
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