第10話 第十転生
オラの目の前にはただ真っ白な空間が広がっていた。
かろうじて空と地面の境界は見えるがそれもぼんやりとしている。
「どこだ!?ここは!!!」
大声で叫ぶオラの声は虚しくこだまする。
なんでこんなことに!?一体どこなんだここは!!
オラは必死に、記憶の糸を辿りよせる。
「お…思い出してきたぞぉ…!」
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オッス!オラの名はイクミ!
都内の中堅高校に通うごく普通の17の学生だ!!
部活が終わって帰る途中、国道の大きな交差点で白猫を見かけたオラは助けようと飛び出した所に赤信号を無視した暴走トラックに跳ねられてしまったんだ!
最後の記憶は…倒れて意識が薄れていくオラの顔を、ペロペロと舐めている白猫の顔!!
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「良かったなぁ!無事みてーだ!!」
安心すると同時に、不安と恐怖が襲ってくる。
「えっ」
「てことはひょっとして…」
「オラは死んで、ここは天国ってことかぁ!?!?」
「否、ここは煉獄」
突然頭の中に声が響く。
「!?」
キュポポーン!
奇妙な音と共に突然目の前に、長い髪の男が現れた。
「イクミ…だな?」
「うわあ!なんだお前は!」
「俺の名はキュポポン…言うなれば漆黒の
「きゅぽ…何言ってんだコイツ!?」
「キュポポン…だ」
「キュポ…どうでもいーや。なんだおめーは!」
「お前達人間の世界では…
「天使ぃ?おめー、
頭がこんがらがる。
でもオラが死んじまったのは確からしい。
「煉獄とは天国に行く魂が一時待機する場所…」
もうオラの頭の中にこの男の言葉は入ってこなかった。
オラは、死んじまったんだ!!
「安心しろ…」
「白猫を助けた報いに、俺の力でお前を転生させてやろう…」
「て…転生!?」
転生。生まれ変わり。前世の記憶を持ったまま生まれ変わった人生を歩む…そんなことが出来んのかぁ!?
「…どうする?」
「する!オラ、もう一度生まれ変わって幸せな人生を送っゾ!」
「では、ゆけ…その絶望振りまく暗黒の翼と共に…!」
男の言葉と共に、オラは光に包まれ、意識が遠のく。
オラは…転生して…今度こそ幸せな人生を送っゾ………。
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