第6話 第六転生
ワシの目の前にはただ真っ白な空間が広がっとった!
かろうじて空と地面の境界は見えるがそれもぼんやりとしとる!
「ここはどこじゃいっ!」
大声で叫ぶワシの声は虚しくこだまする!
なんでこんなことに!?一体どこなんじゃここは!!
ワシは必死に、記憶の糸を辿りよせる!
「お…思い出したあああああ!」
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ワシの名は転辺川生巳(かるべがわいくみ)!
花木田高校に通うごく普通の17の番長じゃ!
因縁の宿敵、国府田連合総長神田山との喧嘩を終えて帰る途中!
犬ッコロが道路に飛び出したんで助けるため飛び込みトラックにひかれたんじゃ!
最後の記憶は…倒れて意識が薄れていくワシの顔を、ペロペロと舐めている犬ッコロの顔!!
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「良かったのう!!!」
安心すると同時に、不安と恐怖が襲ってくる。
「ぬうっ」
「ひょっとして…」
「ワシは死んで、ここは天国ってことかあああ!?!?」
「いいえ、ここは煉獄です」
ぬおっ?突然頭の中に声が響く!
「ぬううっ!?」
キュポポーン!
奇妙な音と共に突然目の前に、猫のような狸のような、ヌイグルミのような丸っこい生物が現れおった!
「やあイクミ☆!」
「ぬおっ!なんじゃいお前は!」
「ボク☆の名前はキュポポン☆」
「ヌイグルミが喋りおった!?」
「ボク☆の名前はヌイグルミじゃないよ☆!キュポポンだよ☆」
「そうか!キュポポンか!なんじゃいお前は!」
「キミ達ニンゲン☆の世界では天使とか呼ばれてる存在さ☆」
「天使ぃ!?」
頭がこんがらがる。
しかし、どうもワシが死んでしまったのは確からしいのう。
「この煉獄☆ってのはね、天国に行く魂が一時待機する場所さ☆」
もはやワシの頭の中にこのヌイグルミの言葉は入ってこなかった。
ワシは、死んでしもうたんじゃ…!
「でもね、ダイジョーブだよ☆」
「犬ッコロを助けたご褒美に、ボク☆の力で君を転生させてあげる☆」
「て…転生!?」
転生…生まれ変わり…!前世の記憶を持ったまま生まれ変わった人生を歩む…!そんなことが出来るのか!?
「どうする?転生してみる?」
「おう!もう一度生まれ変わって、最強の番長になったるわい!」
「オッケー★んじゃ行ってらっしゃーい☆」
ヌイグルミの言葉と共に、ワシは光に包まれ、意識が遠のく。
ワシは…転生して…今度こそ最強の番頭になるんじゃい………!
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