第4話 第四転生
俺の目の前にはただ真っ白な空間が広がっていた。
かろうじて空と地面の境界は見えるがそれもぼんやりとしている。
「どこだ!?ここはっ!!!」
大声で叫ぶ俺の声は虚しくこだまする。
何故このような事に!?一体何処なのだここは!!
俺は必死に、記憶の糸を辿りよせる。
「お…思い出してきたぞ…っ!」
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俺の名は劉生巳。(リュウ・イクミ)
大宣帝国南部の都市会封に生まれ混迷極める大陸の覇を競い合っていたごく普通の17歳の群雄だ。
大陸制覇目前、宿敵曹幹との最後の会戦中、部下張洪の裏切りに遭い突然後ろから斬られたのだ。
最後の記憶は…胴から離れ意識が薄れゆく俺の首を、ペロペロと舐める愛馬の顔…っ!
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「おのれ張洪…っ!」
怒りと共に、不安と恐怖が襲ってくる。
「はっ…!」
「ということは…」
「俺は死に、ここは天国ということなのか…っ!?」
「違うね。ここは煉獄ってとこさ」
突然頭の中にかすれた声が響く。
「!?」
キュポポーン!
奇妙な音と共に突然目の前に、男が現れた。
「ぃよう、生巳」
「うおっ!何者だお前は!」
「ふっ…俺の名前などどうでもいいさ」
「!?」
「俺ァお前らの世界では神仙とか呼ばれる存在ってとこだ」
頭がこんがらがる。
しかし、どうも俺が死んでしまったのは確からしい。
「ここ煉獄ってやつはな、天国に行く魂が一時待機する場所さ」
「へっ、神様ってヤツも、なかなかに面倒なモンを考えやがる」
もはや俺の頭の中にこの男の言葉は入ってこなかった。
俺は、死んだのだ…。
「ま、大丈夫さ」
「大陸制覇をほぼほぼ成し遂げたご褒美だ。俺の力でお前を転生させてやるよ」
「て…転生!?」
転生。生まれ変わり。前世の記憶を持ったまま生まれ変わった人生を歩む…そんな事が出来るのか…っ!?
「んで、どうする?」
「聞くまでもない!もう一度、生まれ変わって大陸制覇を成し遂げて見せる!」
「オッケー、んじゃ、気を付けな」
男の言葉と共に、俺は光に包まれ、意識が遠のく。
俺は…転生して…今度こそ幸せな人生を送るんだ………。
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