七夕の曇り空
シンシア
七夕の曇り空
「今日、晴れるかな?」
二人きりの教室で、何かを願うように夕暮れの空に手を合わせる彼女の姿はとても美しかった。
「もしかして織姫と彦星の話?」
「そうだよー!年に一度しか会えないのに、
こんな曇り空じゃ可哀想じゃん。ちゃんと会えるのかな?」
考えてみると七夕の日に限って天気が悪い事が多い気がする。ラッキー7を信じてる人にとっては絶好のチャンスの日ではないだろか。1つ足りないから縁起が悪い可能性はある。
七夕に話を戻すと、夏の大三角形が良く見える時期がちょうど七月七日のこの時期だからっていうのが由来だったはずだ。曇りやすい日が一番星が輝く日というのはどんな意地悪な皮肉なのだろうか。
「7がつく日なのにね、織姫と彦星もツイてないね。」
私は彼女に同意した。
「なんか毎年曇ってる気がするんだよね。神様の最後の抵抗なのかな?往生際ワル!」
頰を膨らませる彼女も可愛いが私は1つ教
えたい事を思い出した。
「二人はさ、雲なんか関係ない宇宙の果てで会うんだからさ。ここよりもっと綺麗な景色を見るはずだよ。」
何かまずい事を言ってしまったと思うくらい間が空いた。
「......確かに!マヤでもそんなロマンチックな事言えるんだね。私びっくりしちゃった!」
「えー。ショーコにまで堅物キャラだって思われてたなんて!ショックだよ。私だって一応女の子なんだよ!」
「ごめん、ごめん。でもなんか元気出た
よ。ありがと。」
「私は知ってるんだ。ホントのマヤは感情豊かで優しくて面白い人だってね。」
何よりも嬉しい言葉に顔が熱くなった。私だって肖子を困らせたくて何か意地悪な言葉を探したが見つからず、常套句みたいな言葉で返した。
「ショーコは七夕に何をお願いするの?」
「えー。マヤには教えないよ。」
その願いに私はいるのだろうか。
七夕の曇り空 シンシア @syndy_ataru
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