7の日の不幸

御影イズミ

不幸は突然訪れる。

「ロルフ、今日お前が買い出し当番だぞ」

「げっ、そうやっけ!?」


 諜報機関オルドヌングのミーティングルームにて、リーダーのヴォルフ・エーリッヒ・シュトルツァーが部下であるロルフ・ディスプレシオにメモを渡す。

 緊急用の備蓄品の買い出しは年に数回起こるのだが、考えても見なかったと言いたげな顔を浮かべるロルフ。

 備蓄品は大荷物になるため、体力が少ない自分ではどうしたって無理だと反論した。


 それならシェルムもつれていけ、と笑うヴォルフ。どうせ今日は大きな仕事もないし、呼び出しを食らう可能性も低い。だったら備蓄品を購入するだけで仕事になるのだから、2人でやってこいと。

 ――これが1つ目の不幸。仕事休みだと思っていたのに、休みじゃなくなった。


「せやから呼ばれたけど、何買えばええの?」

「え~っとなあ……」


 スーパー内を適度に巡りつつ、渡されたメモを確認したロルフ。

 彼が前に一歩進もうとしたその時事件は起こる。


「ごあっ!?」

「ロルフ!?」


 突如ロルフの頭に落ちてきたジャムの瓶。ゴンッといい音を鳴らし、ロルフの頭に着地してから彼らの持つカゴの中へとゴールイン。

 ――これが2つ目の不幸。いきなり落ちるジャムの瓶に頭を殴られる。


「いっ……たぁ……なんやねん、もぉー!」

「すっごい音したなぁ。あ、でもこれ買っとくヤツやん。入れとこ」

「誰用!? 誰用のジャム!? ねえ!」

「エミさんやなあ」

「エーミールあとでしばいたるわ!」

「可哀想にエミさん」


 諸々も一緒に購入し終えた後、再び組織へ戻る2人。

 帰り道は何故か大きな渋滞が起きていて、出たのが14時頃なのに帰りが18時頃となっていた。

 ――これが3つ目の不幸。そう遠くないのに、帰りが遅くなる。


「ただいまぁ……」


 帰ってきた時のロルフはもうボロボロだ。

 渋滞に巻き込まれながらも、買った商品の中に他にもいくつかの小さな不幸が舞い込んでいたのだから。

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7の日の不幸 御影イズミ @mikageizumi

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