第03話 12時17分 PTuber
『犯罪者のみなさん! 脳みそ焼かれた元健常者のみなさん! こ~んにちは~! それともこんばんは?
3D美少女キャラが元気に両手を掲げながらのスタートだ。
桜をモチーフにした和風衣装キャラ。
巷ではAIなのか中身がいるのかで論争が起きているが今の僕にはそんなことは関係ない。
それにこの動画の存在は知っていたが、いざ自分の身に降りかかっている状況だととてもじゃないけど笑えない……
『ここまで知名度があると知らない~! な~んてことはないと思うけどあくまでも公平に競わないと盛り上がらないので説明をはじめま~す!』
さっさと説明に入ってくれるのはありがたい。
あの刑事さんの気持ちが良く分かった。
他人事であれば盛り上がれるんだろうが、この心境でこのテンションは煽りにしか思えないんだけどな……
『じゃ~まず大事なことから!
あっさりとした物言いだが、これ以上に重要なことはないだろう。
論争で人が入ってると思ってるやつはこの発言を直に聞いてもそう思えるのだろうか……
でも、案外こういう人は側にいたりする場合もあるし……う~ん……
『次に参加者について! 基本的な出演者はみ~んな犯罪者です! 悪い子ばかりで悲しくなっちゃうよね……で、基本的ではない人! そう家族を傷つけられたり、殺されたりした人の関係者、心に深い傷を負わされた人もこのゲームに参加することがあります!』
ここの説明も元々知っている知識の範囲だ。
というよりも、今の世の中でこれを知らないって人は恐らくいないと思う。
犯罪に対する厳罰化の際、授業に組み込まれてるわけだし……
『みんな犯罪者なので~呼び方としては
配信は好んで見ないけど、ここも問題なし。
特に凶悪な殺人犯が収監された後は話題になるからね。
でも……
『でも注意! 参加者のみなさんは
よっぽど恨みがあるか、大犯罪者でない限りは中身は気にする人はそうそういない。
とは言えあえて知らせないというスリルも、この人気の一因なのだろう。
『今回のゲームでは
うん。その通りだ。
知らされないも何も顔見りゃ一発じゃないかって思うんだよね。直に配信を見ていない人は……
『次にみなさんには
そう……このPTuberたちがVTuberよりも圧倒的な人気になった理由がこれだ。
配信者だけでなく、参加者じたいもアバターを着ることになる。
動画を見ている人からすれば、キャラクターが動いているように見えるので、配信を見るというハードルがぐっと下がるんだ。
『そしてみんなご存じの通り! 懲役を賭けたバトルをしてもらうことになりま~す! うまく勝ち残れば一発で釈放されちゃう夢の舞台だよねっ!』
悪夢の間違いではないのかな。
でも、僕が認識しているルールと違いはないことは確認できた。
テクノロジーが発達しても運営する上でシステム的な綻びは生じることがある。
この運営はそれを包み隠すことなく、その穴を突かれた場合は素直に認め、次回の開催で改善してくるためだ。
それはあくまでも視聴者を喜ばせるための改善であり、
『ここまで駆け足で説明しちゃったけど安心してほしいな? ちゃ~んと内容を整理した一覧をお見せしま~す!』
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