第5話、「あしらいその2]]

 次の日...ローザスは、朝早くにガレージへと向かった...。こんなに朝早いのは何故か...理由は二つ。先ず、作っているものが条約に抵触するモノである故、一目が入る前にドアにロックをかけたかった事...次に、彼の中で少しだけやる気のが揺らめき出したからだ...。

「おじゃまします...、」

「随分早いのね...呆れる前に少しぐらい尊敬しておくワ]]

「そりゃどーもでーす、」

二人は図面を広げると、ローザスは言った...。

「モノ盗める?」

「やっぱ呆れておくわ...]]

「ごめんなさいすみません......」

「ま、できるけど? どぉーしてもって言うのなら......やらない事もないわよ]]

「どーしてもです、宜しくお願い致します、」

「よろしい]]

 アルキスは満足気に頷くと、何を盗むのか問う...。ローザスが、これとこれとこれと...、と指差しを行い答える。そして地図を開き...

「全てこの施設のこの保管庫にあるらしいね、」

「突破出来たらザルも良いとこだわ...じゃ、行ってくる...]]

 彼女は制服とそこら辺のガラクタ資料の箱を引っ張り出すと、白昼堂々、盗みに出かけに行った...。

「さて、こっちは...と、」

 待つ間、ローザスはローザスで何かの作成を始めた...。


 廊下を歩くのはアルキス......。帽子で目元が隠れる程深く帽子を被って、彼女が向かうのは何だか豪華な扉の前...。

 コンコン...とノックして、

「備品整理に参りました! 入室宜しいでしょうか!]]

 と元気に一声、

『そうか...。』

 そこから1秒程の間があったが...、恐らく備品の整理を頼んだ覚えが無いからであろう...。だが、

『宜しい、入れ。』

 中にはキラキラしたバッジ等の装飾品が、とんでもなく装備された制服を着た、如何いかにも偉そうな女が一人、重厚感あるエグゼクティブデスクで資料を読んでいた。アルキスは扉を潜ると、後ろ手でバレない様に鍵を締める。

「資料を...]]

『......私の後ろだ。手短に頼むよ?』

偉そうな女はどこか慎重で...やはり怪しまれてる様子。

「了解であります!]]

 しかし、元気に再び返すと、偉そうな女の後ろに回り込み...資料入れの扉を開けて入れ替える──フリをし、女に薬指を向けると...爪が射出。首に命中した偉そうな女は音もなく机に突っ伏した...。

「よっ]]

 アルキスは女の頭に手を当てて......。少し背伸びをすると...彼女{アルキス}の皮膚が変化、見る見るうちに金髪碧眼で、長い髪をゆったりと下ろした、優美でしとやかな女性、右側の口元にほくろが一つ...そ~んで色々成長して、その女そっくりに変身した...。

「あ...、あー...ん゛ん! ようし声紋理想基準値に。彼女、いや私の名前はカルミア・ペルル...誕生日2月5日、身長173.5、体重60.7、スリーサイズは上から91、58、94。あら羨まし...、と言いたいけどこんなデカブツぶら下げてたら動きづらくってありゃしない、そんな未来が見える見える...。はぁ......んで、財閥の養子のエリートっ子で、現在27歳、19歳で士官學校を卒業。鰻登りでスーパー出世して......、今や大将.........。へぇ......気持ちよーく過ごして来てるのね。...それと、ん〜...人間の考える事ってバカらしいワね。]]

 ボイスチェックついでにプロフィールを読み上げる...手帳等を読んだ訳ではない、頭から直接にその情報プロフィールをインストールしたのだ。

「でも、これは貰うわ?]]

 手帳は抜き取った。服装はと言うと...何処がとは言わないが、ハチ切レそうになっているアルキスの着ている制服も変形を開始...彼女の指示で変形する専用の特殊制服、金属制になってはしまうが、バレる要素は無い、金属探知機も無視可能な謎技術である。次いでに服を脱がす必要も無いので楽々。何より彼女の記憶含む全情報をデータとして保存。体重、衣服の質量以外なら匂いですらマネできる。ヒト一人分をほぼ完璧に模倣コピーしなりすます、鬼畜的スパイ機能...設計者は半ば謀反の様に使われるとは思いもしなかったであろう。

 さて、突っ伏してフリーズしたカルミアをロッカーに詰めて持ってきた鍵をかけると...

「カルミアいっきま~す♡。]]

 柔らかく、深みある艶めかしい声で、そんな事を言って、カルミア風アルキスは歩み出した。部屋を出る時、扉に"現在不在"のドアプレートを取り付け、ロックするのも忘れずに...。


「ふんふんふーん♪ふんふんふーん♪。]]

『おや、カルミア大将、随分ご機嫌の様子で...』

「ッ......まぁそうだな少将君。]]

 危ない...が事なきを得る。

「少し用事なのだ。]]

『それはそれは...是非頑張って頂きたい』

「では、これで......。]]

『また...』

 あ〜、そりゃあみんな狙ってるワ...羨ましいくらいね。...はぁ、......さっさとやるか~

 カルミア”風”が向かうのは、資料保存室...。様々な物質が揃う恐ろしい部屋だ、プルトニウム等の放射性物質も保存されているので、厳重なロックで閉ざされている。ずは目の認証...これは?

「ぬるい。]]

 目の表面に極薄の被膜を形成...低出力レーザーによる目の中の凹凸検査は、その膜により的確に反射され...

[[LOCK OFF]]

 続いて声紋認証...は言わずもがなパス。

[[LOCK OFF]]

 その次、掌紋認証は

「ふん...。]]

 手のひらでさえ隅々までの情報は抜かりない...

[[LOCK OFF]]

 もちろんのことパス...。

 因みに監視カメラに彼女は映らない...入る瞬間に二秒前の映像を無限にループさせるハッキングをしかけたのだ。どこまで彼女は充実しているのかは、もう見当もつかない。

 最後の扉が開き、物色を始める。

ふん...、楽々......。

と!

 かん! かん! と即座に強い明かりに照らされる。

『手を上げろ!』

「ッ!!。]]

 反射的に、即座に腕で顔を隠す...が、直ぐに腕は腰の位置へ戻る。

『これはこれは...、カルミア殿...ここへ何しに?』

 なんと、多数の軍人がにわかに現れた!

うそーん...

「......ちょっと気になったから来たのだ。]]

『どういうことだ?』

「ここらを彷徨うろつく輩がいると...秘密裏にだ......。君たちは口を出すな。]]

 その言い方は.........あ〜、なんとかなれ〜......。

『そうであったか...だが聴取をするゆえ、後で来てもらいたい...』

「喜んでそうする......と言いたいところだが、私を捕まえようとしたのはそちらの失態だ。私はパスさせてもらう、以降気をつけたまえ。]]

『...慈悲をありがとうございます、では、撤収!』『......ハッ!』』』』』』』』』

 だっだっだっだ......。大勢の兵士が足並み揃え去っていくのを見届けると...

アナタが聴取受けなくていいのは私からの慈悲よ。いいわねカルミア殿?。]]

 と、その場に居るが、そこには居ない彼女の名前を口にし、目標を特定量入手。その場を後にした。


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