第4話、「あしらいその1]]
心地よい朝、小鳥が
「あ!」
何だか冴えない雰囲気の男、ローザスがベッドから飛び降りると、終わらない最低限の支度を
向かい行く先は......
ガチャっ!
「失礼しますっ!」
あの宴会から早三日、その前の二日間は昼くらいに訪れていたが...今日は朝早くから。そんな来客に
「な、何よアンタ急にこんなじかん!]]
彼女のリアクションは相変わらず無視して資料棚へ...
「ちょっと? あー....やっぱ何なの
アルキスが面倒臭くなって離れようとすると...
「エネルギーの供給システムはニューバイオリアクターでいいんよね?」
「...そうよ? 食料から供給できるシステム...でも電気変換じゃないワ?]]
「高エネルギー粒子...かぁ、まぁなんとか...、」
「何を作ろうって...まさか!?]]
少し、考えた様な素振りを見せ...アルキスはそう驚いた。
「君のまさかに信頼無いけど多分そのまさか、」
「はァ?分かるわよ...電源をもう一個作れるっていうの? アナタが? マジで?]]
「ぴんぽーん...んで、あった!」
引っ張り出したのは例のニューバイオリアクター(以後NBr)の論文集と構造の載る書物沢山...
「ようし...、」
と気合いを入れたかと思えば、其れをローザスはパラパラ読み進める...。ちょっと気になったアルキスも、後ろから除く...。
「サラセニス触媒に食物を反応、カスも残らず分解して高エネルギー粒子として置き換える...結局、高エネルギー粒子が扱いづらいもんで電気に戻すけどそこの効率がゴミ。アンタがワタシにどう使うのか知らないけど...こんなの作って本当に]]
「うるさい、」
「へぇへぇ、すみませんねぇ]]
このヒト、集中すると全然喋んないのね...、その癖に返しが怖い怖いっと....
「おけ、だいたい理解....、」
分かったようなのでアルキスは再び口を開く。
「サラセニス触媒
ガベル連合ブラゥロズ工科生物大学のサラセニス触媒とは、二ヶ月前にサラセニスと言う教授が3年がかりで完成させたNBr用の次世代の触媒。...しかし2日後に、超エネルギーを作り出せるので戦争の長期化に繋がる...と言われ、夢のエネルギー問題解決技術は条約で禁止されてしまった。戦争が終わるまで開発は一切禁止である。
「作れればいいんでしょ...と言うかアレだよ、君の電源にもこのNBrが使われてるんだから...、」
「な、なによ? わわ...私のを見せろと?]]
「話が早い!」
今回は正座の様なポーズをさせてから作業を始める。一応作業台で上体を固定...。
ゴン☆
「やっべぇ、まーたやったった......。まぁいっか、リアクター出来たら...もうなくて済むから、うん...ごめん、」
前回と同様背中を取り外す、下腹部に当たる位置にあるのが例のリアクター...だろうか。食べたモノが通るパイプの様な物や、その他諸々のケーブルにがっちり取り付けられており、取り外しは危険そうだが....。
で、ある事に気づいてしまった....。
「まさか...、」
背中を元に戻し......作業台を退かし、彼女の正面に移動。
「あ~、そーりー...!」
恐る恐る患者服(の様な羽織)を優しく...されど手早く剥ぎ、目線を下に下ろすと......。
「やっぱし......!」
そう、形だけあるヘソの下...東洋医学で
ドライバーを持ち換えてネジを全て取り外し、彼女のカバーのロック解除の機械を当ててみる......と
しゅういん!...。
反応を示すと、同じ様に溝が現れ...それを手前にグッと引こうとすると......
シュルっ!!
「ッ!]]
「え、」
「.........へ、へ......変態ッ!]]
彼女は再起動。
実は禁止技術の解明阻止の為に、開けようとすると再起動するようにバックドアが仕掛けられていたのだった。
...状況を理解した彼女は即座にその二字熟語を言い放ち、鮮やかにローザスに
「ストップ...ストップ!ごめんごめんごめんごめんごめん!」
最低限付けられた表情再現システムによって顔を真っ赤にアルキスは絞め続ける。
「ごめん...ごめご、」
「......ハッ!?]]
憎悪に燃えていた彼女は、ローザスのバイタル情報が弱まっている事に気付いて絞めを緩めた。
「ごはっ...、カフッカヒッ......、」
「わ、ワタシは悪く無いからねっ!?]]
「...かひゅ、うん、僕のせい、」
「で、また頭痛いんだけど!]]
「分かんないな....でも別のリアクターが出来れば、その痛みは消える筈だから...、」
「.........]]
何言ってんのコイツ、みたいな目で彼女は見る....が、
「はぁ、いいわよ...開ける時、電源は切らないで...でしょ?感覚をオフにするわ......あ〜ヤダヤダ...。ワタシをこう設計した奴をぶん殴りたい...]]
「だからって僕は殴らないでよね......、じゃあ始める!」
聞いてアルキスは腕を組んで上を向く。
再び装置を当てる......
しゅういん!
再び溝が複数のネジの外側を取り巻く様に現れる...。手前に引き出し、ベロんと人工皮膚と薄い多層の装甲が手前に倒れる。...と連動して引き出されたのは....。
「リアクターが見えるけど...電源切って良いのかな....再起動するなよ?」
「どーぞ!! さっさと終わらせなさい!!! 恥ずかしいンだから!!!!!]]
そう言って彼女は沈黙...腕組んで上向いてる体勢のバランスが良かったのか、いい感じに動かない。
「さんきゅ...、」
リアクターを引き出す...、中から触媒を取り出すと表面からサンプルを採取...パソコンで計測を開始し、十二分にデータを取り、殴られない内に元あった場所に綺麗に戻す...。服も戻し......て、起動!
「出来たよ、」
「あっそ...。ワタシは寝るワ...]]
「お疲れ様、」
入手したサンプルデータと、沢山の書類を元に、カタカタとキーボード叩き動く。適当に計算式を立て...
「そこ、間違ってるわ...3条よ、2条のとこが3条......]]
計算式に目を凝らす、確かに違う...。なんてこったい。
「流石...って起きてるんですか、」
「眠れるかっつーの...またなんかされたらぶっ殺してしまいそうデスワ?]]
「ひえ〜...、」
昼ご飯も忘れて、2人で理論や公式を組み上げていく...。製図等の頭の
「ほんと凄い...意外と電子計算機以上だよ、」
「意外と...? というか何を今更......はい、式の答えはコレ...]]
夜となって、アルキスが燃料を補給している間も脳を働かせ続け...
「食う?]]
「いい、」
「食いなって]]
「いい、」
「食え]]
「はい、」
アルキスが貰ってきた味のしない栄養ブロックを食べつつ...
「がらがらがら...]]
「うるさい、」
「しゃこしゃこしゃこしゃこ......]]
「メカなら歯磨かなくてもいいんじゃないんす?」
「べー.........。コレでも一応レディなの!...そこ、また違うワよ。少しは頭使いなさい]]
「あ、はい、」
夜、日にちを跨ぎ......
「良かったじゃない、おめでと]]
「っしゃあ!」
遂に完成...と言いたいところだが。
「まだ図面、」
「寝なさい」
「いや、これさえあれば......朝までには、」
「手入れに響くワ、寝なさい]]
「でm、」
「寝ろ]]
「さー...おつかっれしましたー!」
がちゃん...。
扉が閉まり、ガレージは静かに。
「そのうち死ぬわね、あれじゃあ.....]]
苦笑交じりに独りそう呟くのであった。
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