幸せの7

山本アヒコ

幸せの7

 ここ最近は運がいい。先週は競輪で十万以上も勝った。その日はどのレースも負けて、最後にヤケクソで所持金のほとんどを賭けたらそれが当たったのだ。

 この前はパチンコでも大勝だった。ずっと大当たりが連続して箱を積み上げた。

 だから、こうなるのも当たり前なのだ。

「リーチ、一発ツモ!」

 二枚切れのカンチャンリーチをツモってきた。やはり今の俺はツイている。

 友人たちとの麻雀。これが最後の半荘で、これに負けたやつが今日このあとの飲み会で、酒を全員に一杯奢ることになる。

 これでオーラス。俺はこれが最初のアガリだが、ラスとは二万点の差がある二着。振り込まないかぎりラスはない。

 これまでは配牌もツモも悪く、ずっと厳しい戦いだった。親かぶりで高めをツモられたりもした。しかし下家が何回も振り込んでくれたおかげで、ラス目になることはなくてよかった。

 配牌は悪くない。トイツが三つあるが、鳴いてタンヤオでもいい。

 と思っていたら、ツモが良い。三つあるトイツがマンズピンズソーズの七だったのだが、それぞれをツモって七のアンコが三つになってしまった。

(これで三暗刻と三色同刻だ。幸運のラッキーセブン!)

 これを決めれば確実にトップになれる。さらに数順すればイーシャンテンになった。しかしそこでリーチがきた。

(リーチされたか。でも振り込まなければラスはない)

 とりあえず現物を切る。これで一発はなくなった。

 ラスめの下家は危険牌を押すしかない。今回は通った。

(まあ高みの見物といこう)

 などと余裕をかましていたら、どんどん捨てる牌がなくなってきた。

(ぐぬう……さすがにキツイな)

 ついに残り三順になった。目を皿のようにして捨てる牌を探す。

(現物はもうない。どれを捨てるべきなのか……)

 自分の手牌と捨てられた牌を何度も見比べる。

(ん? これは……)

 六と八のソーズが四枚捨てられているのを見つけた。ということは、その間の七が安全ということ。

(ラッキーセブン!)

 三枚あるソーズの七を手牌から力強く叩きつけた。

「ロン。四暗刻単騎」

 ヤケ酒だ。やってられるか。

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幸せの7 山本アヒコ @lostoman916

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ