加護【アンラッキーセブン】だった私。【ラッキーセブン】を打ち消すと言われ追い出されました。だけど、委員長が――
花月夜れん
ラッキーセブン、アンラッキーセブン
ドゥルルル ピンポーン
「勇者
次々とクラスメイト達に加護がついていく。
私達は異世界にクラス転移というのを目の当たりにしているところだ。
「よっしゃ。何かわからないけど良さそうなやつが来たー!!」
喜ぶ勇者達。あいつらはきっとゲームのつもりで気楽なんだろうな。よくわからないところに誘拐されようとしているのに。
「ほら、アンラッキー。お前の番だろ」
クラスに幸運君がいるせいで余計に不運だった。
ドゥルルル ピンポーン
あーあ、なにがラッキーセブンよ。私はきっと。
「勇者不運七奈。あなたにはアンラッキーセブンの加護が与えられます」
本当に信じられない。何? アンラッキーセブンって……。
◇
学級委員長がこれからのことを話し出していた。
私はもらった加護の説明を読みながらぼやっとそれを聞いていた。
『七という名前を持つ者、次々不幸が舞い込む』
はぁーと長いため息をついた。
『対になるラッキーセブンといることによって加護は打ち消される』
ぷちっとステータス画面を消す。
「オレは反対だ!!」
「な、なんで!? こういうのは皆で協力していかないと」
「いーや、駄目だ。オレのラッキーセブンを発動すりゃすぐにクリアできるだろ。だから、アンラッキーを追放しろ」
あはは、そうだよね。私なんて、アンラッキーセブンだし、幸運君の加護が消えたらもったいないよね。
「でも、あの不運さんあなたの加護はやはりその」
委員長が困りながら聞いてくる。こんな私でもきちんと気にかけてくれる優しい人だ。
「委員長。ありがとう。でもホント、無理しないでいいよ。私の加護、不幸が舞い込むだから。うん、大丈夫。私一人で行くよ」
立ち上がり、走り出す。私が我慢すればきっと皆がすぐにクリアしてくれて地球に帰れるはずだ。
木の根に躓き転んだ。涙がでそうになる。
「ふ、不運だぁぁぁぁ」
でも、これでいいんだ。どうか、皆頑張って。
「不運さん!」
委員長の声がした。
「委員長……どうして?」
「クラス皆で帰るんです。地球に」
「でも私……」
「大丈夫、信じてついてきて」
戻ると幸運君と取り巻き数人がいなくなっていた。
「あいつらはラッキーセブンを楽しみたいっていってたから行かせたよ」
「でも、幸運君がいないと私の不運で皆が――」
「僕の加護は反転交換。一度だけだれかの加護を反転させることができるらしい。君の加護こそが最適だと僕は思うんだ――」
◇
「ちっくしょー、何だよこれ!! どこが幸運だ!!」
クラスメイト達から離れた勇者一行は魔物に追いかけられていた。
「おい、幸運!! はやく加護でなんとかしろよ!!」
「お前らだって加護あるだろ!!」
「幸運が舞い込むっていうからついてきたのにっ」
「どうなってやがるんだぁぁぁぁぁ」
ステータス
ラッキーセブン
七という名前を持つ者、次々幸運が舞い込む。
対になるアンラッキーセブンといることによって加護は打ち消される。
――――――
加護スキルにより書き換えが起こりました。
アンラッキーセブン
七という名前を持つ者、次々不幸が舞い込む。
対になるラッキーセブンといることによって加護は打ち消される。
◇
「危ない! 委員長」
私は今、委員長を守っている。彼のおかげで私はアンラッキーセブンの加護をラッキーセブンに書き換えてもらえた。ただ、彼の加護は私に使い切ってしまったので、彼の分まで私が受け持つつもりで頑張っている。
「ありがとう。不運さん。でもそろそろ、その委員長って呼び方かえてもらってもいいかな」
「あ、ごめんなさい。なんて呼べばいいですか」
「名前……ユウで」
「ユウさんですね。なら私も名前で」
「はい、七奈さん」
加護【アンラッキーセブン】だった私。【ラッキーセブン】を打ち消すと言われ追い出されました。だけど、委員長が―― 花月夜れん @kumizurenka
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