3.第2のプロローグ編
Mission17 努力は継続なり
「文那ちゃん!! 音宮くんと付き合ったんでしょ!? どーして僕に教えてくれなかったの!?」
「声が大きいですわ!!!!」
副会長に大声で問われたので、すかさず
目の前には、至近距離でこちらを見つめてくる副会長の姿が。その姿に気圧されつつ、
「……1つ!
「ええ、忘れてただけでしょ」
「……貴方がそう思うのなら、そうかもしれませんわね?」
「げーっ、ヤな感じ」
舌を出す副会長に
すると副会長も、つられたように笑い始めました。豪快に口を開き、楽しそうなご様子です。
「……ところで、何故
「なんでって」
「君たちから幸せオーラが漂ってるから?」
「……抽象的ですわね」
「厳密に言うと、君に精神的な余裕が見えるようになったから……かな」
「なるほど……納得出来ますわ」
副会長の話を聞き、
音宮先輩と仮のお付き合いを始め、今日で2週間。
あれから
放課後、保健室で少しだけ会話をした後、音宮先輩の異能力を使ってもらい、
そのお陰で
「『氷の女王』が2週間も怒らないだなんて、嵐の前の静けさか!?」だなんて言われているようですけれど、あともう2週間もすれば、そんな噂も消えるでしょう。
「はいはい幸せそうで何より」
「何ですの、その反応は……」
「いや、甘くて胸焼けしそうだなー、って」
副会長は何だかよく分からないことを言っているので、
ところで音宮先輩との待ち合わせが迫っているので、そろそろ向かいたいところでした。ここから立ち去る申し出をしようと口を開くと同時、彼女が「あ」、と言います。
「そういや僕も、次期生徒会長に打診されて、呼ばれてるんだった」
「早く行かなければいけないものではなくて!?」
「だね~、いやぁ、君から早く話を聞きたくて、すっかり忘れてたぁ」
なんですのそれ……こっちの心臓がバクバクしていますわ……。これでもし彼女が約束の時刻を破れば、
「じゃ、どーぞお幸せに。これは僕からの餞別っ!!」
「ッ!?」
すると彼女はパーカーのポケットから、何かを取り出し……
何味でしょう、と考えている間に彼女はいなくなっていましたので、
保健室に辿り着くと、そこには既に音宮先輩の姿がありました。いつも通り、さゆり先生に声を掛け、隣の応接室に入ります。小さな部屋ですが、2人きりで話すには絶好の場所ですわ。
あ、ちなみに、保健室でこうして会うことは、さゆり先生からの許可は貰っていますわ。でないと業務妨害になりかねませんからね。
「氷室さん、少し遅かったね」
「あ、すみません……副会長に捕まってしまい……その、音宮先輩と付き合ったことをどうして教えてくれなかったのか、と……」
「ああ……それは災難だったね……。あれ、でもあいつ今日、会長に大事な用で呼び出されたー、とか言ってたような……」
「ええ、なんでも、次期会長の打診があったとか。
「はは、あいつらしい」
そんなことを話しつつ、
「音宮先輩、こちら、どうぞ」
「え……あ、これ、パウンドケーキ?」
「はい!」
音宮先輩の言葉に、
そう、
「……もしかしてこれ、氷室さんの手作り?」
「……いえ、実は違うのです……」
痛いところを突かれ、思わず
「その……初めは
「ああ……そういうことか」
音宮先輩は笑ってくださいます。顔を上げると、彼と目が合いました。
「……俺のために作ってくれようとしたんだよね。……ありがとう」
「……はい!」
元気に返事をしつつ、
……『料理で家庭力をアピール! でも出来ない子は、それを正直に伝えて、ドジっ子ちゃんをアピールしちゃおう♡ どっちに転んでも結果オーライ!』……成功ですわ。
ええ、
「じゃあ今度、一緒にお菓子作りしようよ」
「え!? 音宮先輩……料理、お上手なんですか?」
「上手かは分からないけど……人並みには出来ると思う」
まあ、なんたること! また音宮先輩のことを知り、惚れ直してしまいますわ!
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