Black Friday

運が良いのか悪いのか

「おめでとうございます〜！　大当たり〜！！」

「お客様運が良い！　一等賞でございます！！」

「え？　マジで？？」

「もちろんでございます！　一等賞はぁ〜」

「一等なの？」

「『天国に逝く権利』でございます！！」

「天国？」

「ええ！　良いなぁ羨ましいなぁ〜、中々いないんですよ、天国に行ける人」

「そうなんだ……へぇ〜これが一等賞」

「皆さん天国に行きたがるんですよ、本当にお客様は運が良い！」

「あ〜……でも遠い所に行くのはちょっとなぁ。学校あるし」

「そんな、勿体無いですよ！　逝ける時に逝っとかないと、天国！」

「あんま旅行とか好きじゃないの。悪いけど他のにしてくれない？」

「では……こちらはどうでしょう？　二等賞ですが、『仏になる権利』です！」

「仏になる権利……？」

「ええ！　これもすごいですよぉ、仏になれる人なんて滅多にいませんよ。皆に自慢できますよぉ〜、仏になったら！」

「でも……それってもしかして資格とか要るんじゃないですか？　ウチの学校バイト禁止なのよ。親も煩いしさ」

「しょうがありませんね……では三等、『おめでたくなる権利』は如何でしょう？」

「え？　それちょっと楽しそう」

「でしょう？　最近何だか気分が優れなくて、鬱々としてたんじゃないですか？　これを機に、貴女もおめでたくなっちゃいませんかぁ？？」

「良さげだけど……実はこれから私、親戚の叔母ちゃんのお葬式なの。流石にハッピールンルン♪になってる場合じゃないでしょ」

「そうですか……仕方ありませんね。何なら三つ同時にプレゼントも出来るんですが」

「ねえ、黒い服着てるけど……叔父さんもこれからお葬式？　もしかして、叔母さんのお友達か何か？」

「ま……そのようなものです。友達……そうですね」

「本当ごめん！　また今度寄るから。その時もらっても良い？」

「ダメです。今日引かないとダメなんです」

「そっかぁ……残念」

「私ってば、本当ツイてないなぁ」