アンラッキーナンバー

あんとんぱんこ

第1話完結

僕は不幸体質だ。7という数字に対してだけ。

毎月7日には、お腹を壊すか熱を出す。

7月は毎年、熱中症になるか大なり小なり事件が起こる。

平成7年の7月7日、あれは僕にとって最大最悪の事件だった。

7歳の小学校一年生だった僕は、もうすぐ始まる夏休みを前に痛むお腹を抱えながら下校していた。

小さな丘の上に立つ小学校の下校路には七曲り坂という緩い坂があり、僕はそこで良くこける。昔は、本当に七回曲がっていたらしいが、今は普通の緩い坂だ。

その日の朝も、一度盛大にこけてランドセルの中身をぶちまけた。

事件は、その七曲り坂を下っているときに起こった。

坂の両脇に立つ家のいつも見ている車とは違う、見慣れない車が突如ドアを開けて、散れ違いざまに僕を問答無用で載せようとした。

咄嗟に抵抗できたのか、大暴れで嫌がった僕を車は坂道に落として走り去った。

お腹を痛めていた僕は、驚きで大泣き、恐怖で大泣き、少しだけ漏らしてしまって大泣き、お腹も痛くなって大泣き、最終的にはひきつけを起こして意識を手放し、僕の騒ぎを聞きつけて出て来てくれた坂の家のおばさんに何もかも対応してもらい、だいぶぶかぶかな息子さんの昔の服を貸してもらって迎えに来た母さんと共に帰路についた。

その後も色々あったらしいが、地味に警察官かっこいいとか校長先生の顔が怖いとかしか覚えていない。

その後も、見事に7の呪いと戦いながら生きてきた35年間。

年々7の呪いはひどくなり、17歳で橋の欄干が崩れて旅行中に落下事故、27歳で結婚詐欺に合い300万の損失、しまいには17日や27日にも体調不良が起きる始末。

7月7日の七夕に体調不良を押して参加したセブンデイズというレストランでのゲームのオフ会では、見事に料理をひっくり返されて一張羅が死んだ。


次に来る、令和7年の7月7日を迎える2年後の僕には、何が待ち受けているのだろうか…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アンラッキーナンバー あんとんぱんこ @anpontanko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ