アンラッキー7とは。
夕日ゆうや
厄日
今日俺は不運なことがことが七つあった。
ちまたで噂のアンラッキー7という奴だ。
一つ。
朝食の目玉焼きを作ろうとしたら、殻をフライパンに、中身を三角コーナーに捨ててしまったこと。
二つ。
お弁当のお米を炊き忘れたこと。
三つ。
ペンキ塗り立てのベンチに腰をかけたこと。
四つ。
ペンキを引き剥がそうとしたら、お気に入りの洋服がビリビリに破けてしまったこと。
五つ。
破けてしまったことで、ほぼ半裸の状態で家に帰ったこと。
六つ。
衣服を見た妻に怒られたこと。
七つ。
会社に遅刻したこと。
いや、今日の俺、どうした?
なんでこんなにやらかしているんだ。
それにベンチに座る意味が分からない。いつもならしない行動をしたら、失敗した。
まったくどうなっているんだ。
明日はラッキー7にならなくちゃ、バランスがとれない。
例えば、異世界に行ってチートを使って、ちやほやされるとか。急に会社に新人の女の子が入ってきて、モテまくるとか。
くーっ、そう考えただけで気持ちが高ぶる。
「何をニタニタ笑っている!?」
いかん。遅刻したことで、上司からお叱りを受けている最中だった。
てへぺろ。
すぐに顔を改めて、俯く。
「貴様のせいで契約がとんだんだぞ!」
契約の一つや二つ。
まあ、俺がこんな態度だから怒っているのだろう。
悪気があったわけじゃない。
失敗したくて失敗した訳じゃない。
しかし、アンラッキー7とはなんだったのか。
ここまでくればもう一日、なにもしない方がいいのかもしれない。
「ということがあったんだよ!」
俺は友達のザシアンくんに話しかける。
「分かるー。分かるわー」
うんうんと頷くザシアンくん。ハンドルネームだから許して。
「あじフライくんは頑張っているもの。それはみんな知っているはずだよ」
「…………そ、だね」
「え? どうしたんだい?」
俺、普段からサボっているとは言い出せなかった。
ザシアンくんの純粋な目は見られなかった。
アンラッキー7とは。 夕日ゆうや @PT03wing
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