第18話
あの後、急ぎ足で駅に到着したあゆらは公衆電話から専属の運転手を呼び出し、無事帰宅した。
あゆらの家は山側の閑静な高級住宅地にある。富裕層ばかりが住む土地の中でも、一際目を惹く真っ白な西洋風の大豪邸。
あゆらは帰宅を喜ぶ飼い犬を撫でながら、遠く離れた玄関に辿り着くとようやく家の中に入った。
数名いるメイドたちは夜七時までが勤務時間のためもういない。
扉が開く音を聞き、出迎えたのは母親だった。ラベンダー色のネグリジェに身を包んだ彼女は、カプチーノ色の巻き毛を揺らしながらあゆらに声をかけた。
「おかえりなさい……あゆら」
どこか気怠げな様子の彼女に、あゆらはただいまの言葉もかけず、通り過ぎてリビングに行く。
母である
「あの、あゆら……今日はずいぶん遅かったけれど、何かあったの……?」
顔色を窺うように聞く杏奈に、あゆらはひどく苛立ちを覚える。
「そのおどおどした態度おやめになって、見るに耐えませんわ」
「ごめんなさい、でも、あの、あゆらに何かあったら、私が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます