多様性ってやばくね?

 「どしたの急に」

「いやさ、なんとなくなんだけどね、多様性って言葉ってなんか変だなって」

「おうおう真面目な話題?あんまり考えたくないけど」

「いやだってさ、多様性って言葉1つでなんでも片付けるヤベー奴いるじゃん。便利すぎて多様性って言葉の価値がなくなってない?」

「あー、なんかデリケートゾーンをがっしり鷲掴みしそうな話題じゃん」

「だってこんなこと言えんの今のうちでしょ。大人はずるいし、ごまかすし、思ってること何にも言ってくれないじゃん。そのくせこっちに対しては」

「ちょいちょい、その辺にしときな」

「ごめんごめん夢中になっちゃったわ、周りや将来のことを考えずにべらべら不満をいうのだけは得意だからさ」

「多様性についての話はどこいったん」

「あーそれな。ほら、ゲームや漫画の世界では髪型とか色とか違っても何にも言われないのに、なんで現実の学校とか職場とか世間は白い目でこっちを見てくるのかってやつ。あれの話で多様性とか自由とかあんじゃん。好きなもんでテンション上げたいのにどうして人間って「違う」ってのが嫌いなん?って話になるじゃんか」

「そうだねぇ、みんな黒髪がデフォだし」

「そう、デフォが地味。黒とか「ザ・無難」の色のくせしていっつも居座ってやがるわけ。そこで多様性を認める社会の話になってくるわけだけどさ」

「......なんか嫌な予感しかしないぞ」

「それだけで映像が終わっちゃったわけよ。なんにも中身なくない?多様性って言葉さえ使っておけばいいってもんじゃないじゃん!具体的に何すれば多様性が増えるとか思ってんの?たかが髪の色の話じゃん!それだけしかしてないじゃん!」

「それは確かに消化不良だわな」

「あとさ、セックスとかジェンダーの話にもなったわけよ」

「おーっふ、あんまし知らない分野」

「知らなくったってわかるし大丈夫。簡単に言うと性別とかの話。なんで分けたがるのかなーって思ったわけ。体の性別ってのは生物学上オスかメスしかないのはまぁ仕方ないんだけどさ、それ以外の自由が利かなすぎじゃない?現に今だってそうじゃない。極端な例出すけど、男の子がスカート着用してたってさ。別に自分に害がないのに変な目で見てくる奴いるのなんでなん?別に自由じゃん、似合っているかはさておいてさ。メイクだって自由だし、趣味だってそうじゃん。なんで女の子がヒーローもののおもちゃを買ってもらえないわけ?女の子らしくしろとか、男の子は我慢しろとか......多様性って言葉でまとめるだけで問題が片付くと思うなよっての」

「すごい、不満というか愚痴が止まんないじゃん」

「そんなに多様性多様性って言ってると多様性って言葉に重さとか、価値......っていうの?なんかそんな感じのがなくなってくる気がしてさぁ。現に今、浸透はしてても上っ面の言葉だけで、そこまで重要視されてないじゃん」

「多様性を求める以前の問題が多すぎる......ってことなんじゃないかな」

「カネか?カネなんか?またカネか?」

「確かにここ最近どんどん貧乏になってきてるよね」

「カネに余裕がないと心にも余裕なんてできないってことか、そういうことね」

「まぁ、経済的な余裕があることで安心はするよね」

「貧乏だから考え方も品性も貧乏になるんならもうどうしようもなくない?

「お先真っ暗ってこと?うわぁ最悪」

「あの頃はよかった、それに比べていまは......とか言ってるやつに言いたい。今の社会を作ったのはいったい誰なんですかね、と。どの世代だ、と」

「うわぁ、あんたどこにでも喧嘩売ってくじゃん」

「この程度で喧嘩ってのはさすがにやばくない?これくらい自由に発言させてもらえない時点で終わってるよ。炎上とかそんなのどうでもいいわ。自分の意見を放流して何が悪いんだっての。それでわーわーぎゃーぎゃー言ってくる奴はだいたい知らない人だし野次馬だから気にしない方がいいよ、相手にもしない方がいいわ。言わせとけばいいよ。表現の自由ってのはこういう時に悪用しなきゃ」

「......なんかすっごい悪い顔してんね」

「悪い人が得していい人が損する社会なんだからこれくらいしないと割に合うわけがないんだわ」

「そのスタンスいいね」

「よくないからこうなってんですケド?」

「えぇ......」








 ねぇまだー!?はやくしてー!

「今行くから!」

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