第68話 パンツじゃないから恥ずかしくない!
「あっ、真子ちゃんも来たよ! お~い!」
一ノ瀬が呼びかけると、気が付いた二反田が突進するようにこちらへと走って来た。
「杉浦! 比奈と三言も! 良かった~、ここまで一人で心細かったんだ!」
二反田も他の女生徒と同じように探星高校の制服を着ていた。
しかし、二反田のグラビアアイドル顔負けのプロポーションは他の生徒と一線を画していた。
同じ制服を着ているはずなのに、こいつだけ撮影の衣装を着ているような錯覚にも陥る。
そんな姿を見て、俺はあることに気が付く。
「あれ? お前、スカートは恥ずかしくて履けないって言ってなかったか? 履けるようになったのか?」
一応、二反田に配慮して俺がヒソヒソと耳元で話すと二反田は笑う。
「えへへ~、それはね~。杉浦、こっちに来て! みんな、ちょっと待っててな!」
二反田に手を引かれ、何故か物陰に連れてこられる。
「ここなら誰にも見られてないよな?」
そう言うと、二反田は自分のスカートの裾を掴んで俺にだけ見えるようにペロンと捲り上げた。
二反田がたくし上げたスカートの中は黒いスパッツが太ももから上を覆っていた。
「これならパンツが見えないって比奈と三言に教えてもらったんだ! スパッツなら恥ずかしくないだろ~?」
「お前……だからって俺に見せるなよ。ビックリしたじゃねぇか」
「杉浦には別に見せても平気だろ?」
そう言って不思議そうに首をかしげる二反田。
何も平気じゃない。
こんなところ三島に見られたら誤解されて一生口を聞いてもらえなくなるし、山田も持ってかれてしまうだろう。
山田は置いていけ。
「ちょっと~、2人で何してるんですか~!」
突然二反田と二人で物陰に隠れたので、一ノ瀬が俺たちを呼ぶ。
俺と二反田は二人のもとへと戻った。
「あぁ、すまん。別に大したことじゃないんだ」
「真子に変態な行為をしていたんじゃないでしょうね?」
三島がそう言って俺を睨みつける。
「連れていかれてたのは俺だぞ?」
「そうそう、変なことなんてしてないぞ! ただ、俺が履いてる――」
「二反田! 入学式楽しみだな!? なっ!?」
「な、なんだよ? 杉浦、唐突に~……だけどうん! 楽しみだ!」
二反田が俺に履いているスパッツを見せていた。
恐らく三島基準だとアウト判定だろう。
三島ならきっと「なんでスカートをめくった瞬間に自分の目を潰さなかったんですか? セクハラですよ?」って言う。
いや、流石に言わんか。
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