第27話 俺が救った女の子

 

「じゃあ、杉浦頑張って! 絶対に学校で会おうね! 月読と花宮も!」


 二反田はそう言ってさっきの学園関係者にどこかへと案内されていった。


(また、お守りもらっちまったな……しかもまたハンカチ……)


 以前、俺が持ってたやつに似ている気もするが……

 まぁ、同じようなハンカチなんていくらでもあるだろうけど。


 2つめのお守りを胸ポケットに入れて俺は月読と一緒に待機するように言われてた教室へと移動する。


 移動中、月読はまたいつかの様に目を輝かして話しかけてきた。


「杉浦、君は本当に凄いよ! またアイドルを救っちゃったんだね! しかも、不利な状況をひっくり返して3位を取るなんて!」


「た、たまたまだよ。雑誌の表紙があれだけ高い順位になったのは二反田のプロポーションの良さもあっただろうし」


「ううん、杉浦が彼女を信じて最後まで寄り添ったおかげだよ! ごめん、本当は僕も何か力になってあげられれば良かったんだけど……」


「普通はそんな余裕ないって! それに俺は頭に血が上って、失格になりそうになったし……月読が止めてくれて助かったよ」


「あはは、君は本当にアイドルと一心同体なんだね」


 そんな話をしながら待機場所の教室に入ると、壁に寄りかかっている嵐山と目が合った。


 俺は嵐山のそばまで歩いて行って、頭を下げる。


「さっきはその……ありがとう。二反田の特待生合格には多分納得いってない人が何人かいたと思う。今後の活動に影響が出てたかもしれない。嵐山のおかげであの場は収まった」


 すると、嵐山はまた呆れた表情でため息を吐く。


「意味わからねぇな。なんでお前が感謝するんだ?」


「だって、俺が担当したアイドルだったから」


「担当したアイドルだからなんだよ? 他人だろ?」


 そう言って、嵐山は俺の胸を軽く小突いた。


「認める、お前には才能がある。だがそんなんだといつか潰れちまうぜ?」


 そう言い残すと教室を出て行った。


 月読は嵐山の背中を見ながら呟く。


「嫌な奴だと思ってたけど、彼も彼なりにポリシーがあるんだね」


「……俺のやり方はやっぱり受け入れられないみたいだけど」


「あはは、彼からしてみたら意味不明だもんね。でも、そんな杉浦の行動のおかげでアイドルたちは救われてるんだ」


 そう言って、月読はボソリと呟いた。


「いつか、僕の事も救ってくれるといいな……」


「月読……?」


「ううん! 何でもない! ほら、最終試験が始まる前にお手洗いとか行っておいた方が良いんじゃない? まだ結構時間があるみたいだし」


「そうだな~、一緒に連れションでもするか?」


「はぁ!? な、なに言ってんだよ!? 杉浦の馬鹿野郎っ!」


 月読は何故か顔を真っ赤にして俺を睨んだ。

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