第8話 バレてはいけない


 ――2月1日。

 おろしたてのスーツを着た俺は探星高校の入学試験を受けに来ていた。

 探星高校の入学試験はオーディション形式だ。

 一人で来ても良いし、グループを組んで来ても問題ない。

 アイドルが一番多いけど、俺みたいにプロデューサー希望の人ももちろん居るはずだ。

 音楽プロデューサー、ダンスの振付師……芸能界で活躍できる職種は多岐にわたる。


(それにしても……人が多いな……)


 俺は周囲を見回して思う。

 流石は日本一の芸能高校だ。

 イケメンや可愛い子ばかりで校門の前はごった返している。


 そんな中、すぐそばのアイドルグループらしい女の子5人組はお揃いの衣装を着てお喋りをしていた。


「今年の入学志願者数、去年の7倍だって~」

「あの謎のアイドル『X』の影響でしょ?」

「そりゃそうだよ。あんなにカッコ良い姿見せられたら芸能界目指したくなっちゃうって!」

「それに、アイドルやってればもしかしたら『X』と会えるかもしれないしね!」

「あはは、何それ! 下心ありすぎ~! でも、確かに女の子だらけだね~」


 そんな会話を聞きながら冷や汗をかく。

 俺がその『X』だと知られてしまったらもうプロデューサーとしての活動はできないだろう。

 自分の担当アイドルよりも目立つ時点でプロデューサー失格である。


(なんとか、素顔は隠したまま実力でオーディションを突破するしかないな……)


 俺は気を引き締めてネクタイを結び直した。


――――――――――――――

【補足】

少しややこしくてすみません。

「マネージャーだったのにプロデューサー?」と思うかもしれませんが、

マネージャーはプロデューサーの業務の一つだという感じで考えてもらえればと思います!

『アイドルマスター』とかのプロデューサーをイメージして頂けると良いと思います!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る