第八話話し合い

「で?話ってなーに?」


アリス先輩は収録ブースに入ってから、三十分弱で出てきた。やはり慣れてるのか見ていても一つ一つの作業が詰まる事なく進んでいっていき、すぐに話会いができた。


「えと、答えられなかったら全然いいんですけど、私、一期生の来栖 藍先輩が大好きでVTuberになろうと思って すっごく感謝してて、直接お会いしたいんですけど新人なのでそういうのも言いづらくて、マネージャーさんとかにも相談したら会う事は出来ないって言われちゃって、私なんかしちゃいましたかね?」


「嫌われてもないし、多分知らないね」


「知らないって?何がですか?」


「君のことだよ、そもそも三期生って存在すら知らないんじゃない?そもそも二期生がデビューした時も大して気になってなかったしね」


「他人への興味がないんですか?」


「さーね。まああの子に関しては私がどうかできる問題じゃないしもうどうしようもないの!もうだ大分会ってないしね」


「喧嘩ですか?」


「それはない!絶対に、だけどちゃんと話しておけばよかったって思ってるよ。もう会えないかもしれないのに、はあ」


一期生の間でなにかあったのだろうか.....私が入っていいはなしだったんだろうか?分らないけどできるだけ聞いとかないといつ一期生に会えるかもわからないし、いつでも会って話せる関係じゃないし


「最後に会ったのはいつなんですか?」


「100万人行く三か月前、この場所だよ。あれが最後になるなんておもわなかったけどね、普通の話をしてたなああ」


ちょうどこのソファーだったなあと懐かしむ感じで話してるアリス先輩


「どんな話を?配信の話ですか?それともプライベートの話ですか?」


いつの間にか情報収集というよりオタクが出てきてしまっている。だけどオタクとしては、オフのVTuberの話は貴重なのだ。そんなオタクの質問に嫌な顔一つせずアリス先輩は話してくれた。



「もう帰るの?なにか用事?」


「いや配信するの、まだ昨日のゲームが中途半端だから」


「最近、毎日配信してるけど、体調大丈夫?」


「大丈夫、心配しないで」


「そんな事言っても今日もこの収録終わったらまた配信するつもりでしょ?体壊すよ?」


「大丈夫よ、それぐらいどうって事ない、まだやめるわけにはいかないの、やっとVTuberっていう存在が光を浴びてきて、段々と広がってる。そしてその中心は間違いなくスパークルなんだよ。だから今頑張るしかないの。」


「そんなに頑張ってつらくない?私今でも十分だよ?」


「私は辛くない、そもそも人と人の辛さは一緒じゃないし比べるものじゃないよ」


「でも休んだ方がいいよ。これから二期生が入って先輩が毎日配信してたら後輩もそれにつられて義務配信みたいになっちゃうよ」


「だとしても、私は辞めない、こんなチャンス二度とないんだよ?100万人行ったらもしかしたらニュースに載るかもしれない。いくらネットが普及しても未だにテレビの拡散力は高い。もっともっとやらなきゃ、大丈夫よ、私は大丈夫。もし私が壊れてもスパークルは壊れない。」


「そんな事を言ってるんじゃ........分ったわ、でもなにかあったら連絡してね」


「うん、ありがとう、またね」




「はい、終わり。この後から連絡しても返信はおそいし、あの配信後は返信すら来ない、そしてあの子は姿を消した。」






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