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今日の授業は歴史がある。

衝撃的な事件の翌週から担任の先生が替わっていたが、今日から戻るらしい。

先生同士の事なんて教えてくれないから分からないが、当事者としては何とも言えないところだ。

朝から周りに色々言われたが、久しぶりにネタにされて曖昧に笑うことしか出来なかった。

何にせよ、今日はまた怒らせないように気をつけよう。



「お前ら、久し振りだな。」

「今日は投げないのー?」「やっと早弁出来る…!」「いやダメだからな?」


開始の挨拶もそこそこに、砕けた調子でのやり取りから授業は始まり、特に詰まることもなく進んでいく。

人が変わると大変だ、なんて言う人もいたが、この先生が凄いのかみんなが凄いのか、違和感が無い。

そのまま滞りなく進み、残り数分というところで授業はキリ良く終わった。



「ああ、そうだ。

お前、今日の授業が終わったら顔を出せ。

良いな?」

「顔を出す、ですか?」

「先生、まさか」「また先生替わるのか…?」


ざわざわと波紋が広がる。


「おい。

お前らが何を考えてるか知らんが、職員室だ。

お前もそんな顔をしているが、安心しろ。他にも教師はいる。

別に、あの事でお前に何かする気は無いし、したところで良いことなんてないからな。

謝る気もないが。」

「はあ。…分かりました。」

「じゃあ、また後でな。」


言い終わるのを見ていたかのように終了の鐘が鳴り、先生はすぐに教室を出て行った。

周りから声を掛けられるが、あまり耳に入って来ない。


その後の授業はぼんやりとしてしまったが、特に何か注意をされるでもなく、全ての授業が終わった。

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群像的小説(仮) 藍上嗚 @nikuzuki

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