第8話

席に着くと、早速隣の女の子が話しかけてくれた。明るい桃色の髪の毛。私と同じように髪色と制服の色を統一している。可愛らしい容姿。


「私、桃華!よろしくね!舛花!」

「うん。よろしくね。」

「モモって呼んで!」


普通の、といったら変だが生前の記憶と変わらないような普通の高校生のようで安心した。モモはこの世界に来て5年経ち、春からこの学校に一年生で入学が決まったらしい。


「あんまりね〜受かるのが珍しいんだって。モモは魔法も使えなかったからぎりぎり。」

「そうなんだ。私全く使えない。」

「最初はそんなもんだよ!だけど編入なんて珍しいね〜」

「急に決まって。」


余談だがこの世界は年を重ねても見た目が変わるのが遅いらしい。年齢という概念があまりないそうだ。魔力や学力がつけば自然と見た目が大人に近づく。不思議なところだ。

授業は普通の学校の授業を午前中。午後から魔法についての授業だった。簡単なところから教えてもらったがうまく出来ない日々が続いた。


「舛花は学力テスト1位だから進級問題なさそうね。」


先生はそう言ってくれたが自分だけ使えないというのは劣等感に繋がってしまう。家に帰って練習をしたりするものの出来なかった。


「力を抜いて、息を吸って。そうだ。」


毎日コツコツ縹さんに教えてもらいながらやって初めて出来たのは光を出す魔法だった。嬉しくて少し涙目になってしまった。そんな私を見て縹さんは笑っていた。


「少しずつでいい。焦ることはない。」


家では和服姿が見れるからこの時間が最近好きだ。いつしか縹さんと過ごす時間が私の中で大切な時間になっていた。そして一緒に過ごすうちに彼に想いを寄せている自分に気づいてしまった。縹さんがはなさんという女性の名前を寝言で言うことが度々あったので私の一方的な片思いだが気づかないふりをするよりは楽だ。


「舛花〜!おはよう!」


学校生活も慣れて季節は秋を終えて冬を迎えた。雪もちらつき気温も寒いが水は凍っていない。


「寒いね。」

「舛花マフラーしないの?」

「うん。最近物作りの魔法少しずつ覚えてきたから自分で作るんだ。」

「それ!いいね!舛花が作れるようになったらモモも一緒に作る!」


雪もキラキラとしている。この世界は本当に美しくて好きだ。そして人の温かさも好きだ。


学校が終わって歩いていると前から見覚えのある人が歩いてきた。雪と相まって金髪が余計キラキラして見える。

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