おまけep198 高校の時、友達んちにだべったことがなくて八重子んちがちょっと楽しいのは内緒。

「ねぇ、八重子ぉ。最近、彼女とはどう?」

「ひひひ…なんです?急に。まさか、今になって八重子が気になるんですか?」


 今、妙は仕事で八重子の家に来ている。八重子は売れっ子の百合漫画家であり、妙の同級生。そして、出版社で勤める妙は八重子の担当だ。


「いや、別に気になるとかじゃなくて。付き合い始めの頃は、甘々のでろでろでイチャイチャだったじゃない?そろそろ落ち着いたかと思って。」


「いえ。うちの子はとどまることを知りません。日々、激しさを増してすらいますね。スペインのフラメンコのごとく情熱的です。」


「な、なんだと!?あれよりも甘々に…!?例えば!?」ゴクリ…


「例えば?ん…そうですね…。例えば、、会えない日にはポエムが届きます。如何に八重子を愛しているかが長文メールで届くのですが、平安時代を思わせる素晴らしいポエムです。」


「ああ、お前たち2人とも、ノーメイクだと眉毛ないもんな。」


「そういう意味で平安時代では・・・。というか、妙さんは仮にも私の取引先。しかし今、私の眉毛をディスりながら、カルピスを勝手に飲んでテレビを観ながらくつろいで、、いや、美少女がここまで気を許してくれるなら喜ぶべきか。なんでもありません。どうぞおくつろぎ下さい。」


「お前は私に借りがあるだろ?高校生活をお前と絹子のせいで、カオルとカップル認定され、同人誌で散々辱められたんだから。」


「あの作品の中の妙さんは、、恥じらう乙女。カオルに振り回されても追いかけ続け、唇を奪われれば全ての関節を無意味に膝から崩れ落ち、、我ながら萌えが止まらない。」


「カオルが飲んだストローを大事に持ち帰ったシーンは、私に絶望を感じさせたよ。あれは一生恨むからね。」


「あ、それは絹子の趣味です。私ではありません。恨むなら絹子を。」


「私がカオルに泣きながらキスを迫ったシーンは?」


「あれは、私です。全学年の生徒が泣いた伝説のワンシーンですね。」


「早く原稿ちょうだいってば。会社戻んないとなんだからぁ。」


「・・・妙さん。素直に、話を聞いてくれと言えないので?」


「は?別に悩みとかないですけど。話とかないですけどー。」


「こう見えて、恋愛初心者とは言え、数々の百合作品は全国の女子に指示を受けておりますゆえ。相談相手として適役かと自負しておりますが。絹子よりはマシでしょう?」


「ふん。・・・じゃあ、会社に直帰するって電話してくる~。」ア、モチモチ?


 八重子の作業部屋を出ると、妙は会社に電話をしているようだった。さっきから、八重子の百合漫画を読みながら、なにやらぶつぶつと独り言を言っていた妙。聞いて欲しいくせに「どうしたの?」と言われるのを待っていたに違いない。


「妙さん・・・。かわいいの塊かよ。。ついに私にもツンデレを下さるなんて、、」


 八重子は涙を拭いながら、電話で特上の寿司を三人前頼んだ。ア、モチモチ?

 そして、愛する恋人、笑子も呼んだ。妙の相談はきっと恋愛相談に違いない。笑子の方が実践に長けている。ア、モチモチ?


「妙さんが八重子を頼ってくれた、お祝い、ですから。ひひひ・・・」


 さぁ、宴の前に、、仕事を終わらせますかぁ!!!八重桜の、舞っ!!アチョワー‼


 続く。

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