おまけep188 ミザリーほどではない。だから大丈夫・・・

「妙ちゃん妙ちゃん、妙ちゃん赤ちゃん、起きて♡」

「んっ…あれ?…寝ちゃってた…?」バブ?

「うん、1時間くらいね。このまま朝まで寝そうだったからさすがに起こしちゃった♡」

「んー、ごめん。。晩ごはん、食べてないね。お腹すいたでしょ?」

「全然!みちるは胃袋より脳を満たしていたから♡妙ちゃんの寝顔ってチアシードに匹敵する栄養なの♡」

「え、、寝顔見られるのは恥ずかしいってば…」

「恥ずかしがることないわ?美術館の裸のマッチョな彫刻は、誰に見られても恥ずかしがらないわよ♡」


 彫刻と同じ扱いを受けた美少女は、眠い目をこすりながら起き上がると、両手を上げて伸びをした。


「くぁぁぁ……。ふぅー、スッキリした。」

「晩ごはん、ほとんど出来てるから食べよ♡」


 みちるが食卓に料理を並べると、妙は手を合わせて「いただきます。」と言って食べ始めた。


「もぐもぐ。とってもおいしいです、ありがとう。豚汁の野菜が全部ハートにくり抜いてあるね。」

「うふふ、良かったわ♡見て?たくわんもくり抜いてあるのよ♡」

「ごめんね、寝ちゃって。家事もやってもらってばかりで。」

「ううん、みちるがやりたくてやってるから良いのよ♡」


 みちると妙は共働きなので、妙は家事を分担するつもりなのだが、みちるが尽くしたガール故にほとんどやってしまう。妙はそれをわかっているが、たまに申し訳ない気持ちになってしまう。


「洗い物は私がやるからね。」

「じゃあ、2人でやろうね♡」

「1人でできるよ。」

「2人でやるの♡」


 みちるにとって、妙が社会で苦労してくることは渡りに船であった。妙にとって、安心できる居場所がみちるだけだという「みちる株」の上昇に繋がるからだ。みちるバブルで妙を麻痺させたいのだ。


(妙ちゃん、、いつ仕事を辞めても良いからね。みちるが養うから。そして、毎日みちるの帰りをここで待っていて?日替わりでつけられるエプロンも用意するわ。。)*ヤンデレ発動中。


 食事を食べ終わると、妙が食器を洗い、みちるが水を拭き取った。


「ねぇ、みちる。」

「なぁに?妙ちゃん♡」

「みちるはかわいいから、すっごくかわいいから、容姿で面倒なことを言われたりされたりってあったでしょ?みちるは嫌じゃないの?」

「そうね、、嫌なことより良いことのほうが多いから。今、妙ちゃんに2回もかわいいと言われた。みちるはそれだけで全てのパワハラに耐えた甲斐があった、、とすら思うわ。」

「なるほど、、デメリットよりもメリットを取ると、、」

「あのね妙ちゃん?こういうのはたくましく、且つ図々しく居直らないと疲れちゃうのよ?性格なのよ。だって、カオルさんは平気な顔をしてるんでしょう?」

「だって、カオルはあんなだし、、気にしないよ。むしろ嬉しそうだよ。」

「みちるだって、カオルさんとあまり変わらないよ?私がかわいいのは生まれつきだから、そりゃ皆が騒ぐのも無理がないわ?そりゃ目に焼き付けておきたいわよねって。そりゃ一か八かで口説いてみたいわよねって思うの。」

「なるほど。でも、私にはそう思えなくて、、」

「妙ちゃん、、妙ちゃんが開き直れないのにはちゃんと理由があるわ。だから無理しなくて良いの。」

「理由・・・?それは一体なに?」


 みちるは食器とふきんをそっと下に置くと、優しく妙を抱きしめた。妙がショックを受けて、膝から崩れ落ちないように、、一人じゃないと安心させるために、、


「気づいていないのね、、妙ちゃん。妙ちゃんが自分の美に対してこじれてしまったのは、、」

「こじれて、、私はこじれてるんだね、、それは??」

「まさか、みちるの口から言わないといけない日が来るとは。でも、みちるにしか出来ないことなのかもしれないね。」

「教えてよ!ふてぶてしくなりたいっ!!」

「妙ちゃんっ!!大丈夫、私がいるよ!!」


 ぎゅっと抱きしめ合う二人。お互いにちょっとだけ心の中で、何の話だっけ、、と思っていたが、この空気に身を委ねてみた。。

 


「妙ちゃん・・・。それは貴方が、、貴方が、、極度の・・・シスコンだからよ。。」

「・・・えっ?ま、まさか、そんなはずは、、」

「やっぱり、、気づいていなかったのね。逆にすごい。」

「ちがっ、、だって、、シスコンなのは、、萌と、、末であって、、」

「え、マジで気づいてなかったの?うそ、衝撃っ!」ミチルビックリ‼

「そ、そんな、、私は、、シス、、コン、、だなんて、、」

「6割は萌ちゃん、4割は末ちゃんのせいね。」

「ごめん、、頭の中が混乱している、、思考ができないっ!!」アアア…

「大丈夫。みちるが温かいミルクを作ってあげる。今は休んで。。」


 意外にも、、妙は割と本気でびっくりしていた。妹たちがシスコンなのは理解していたが、自分もだとは、、するとどうだ、、頭の中に、コマ送りのように思い出される記憶の数々、、


 そう、自分がかわいすぎる為に、、執拗に妹たちに追いかけられてきた記憶が・・・。


「あ、ああっ、、そうだ、、私はいつの間にか…」

「妙ちゃん、、貴方は妹ですでにお腹いっぱいだったの。だけど、、時すでに遅し。貴方はシスコンになってしまった。。故に外でのバランスが取れなくなってしまったのよ…。」

「そん、な、、うぅっ、、、どうすればいいんだ、、」


 そんなの、、簡単よ、妙ちゃん。


「妙ちゃんは、ずっと妹を甘やかして甘やかされることに慣れていないだけなの。みちるに甘やかされて、しばらく休めばきっと大丈夫。。」


「みちる、、ありがとう。。」


「スポロン買ってあるよ♡」*幼児飲料



 結局、妙を甘やかしたいだけのみちるだった。



 


 

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