おまけep186 みちるのヤンデレによってたくましくなった妙氏

 夏休みも終わり、また日常を送る妙とみちる。夏休みの最終日は、妙がどっぷりとみちるサービスに勤しんだ。1日中、家の中でベタベタして、甘え甘えられ過ごした。ガムテープを使おうとしたときに、うっかりくっついちゃって取れなくなるときあるじゃないですか。そのくらいベッタベタにくっついていた。


 そんな極上の幸せを享受してしまったみちるは…仕事との差異に少し病んでいた。。


「はぁ…、、妙ちゃん…。かわいい、好き…。もう会いたい。。」


 お昼の休憩中、何度もため息をついては黄昏れるみちるに、みちるの職場では、誰が最初に声を掛けるかじゃんけんが行われていた。


「あ、やっべ。負けちった。しゃあない、聞いてあげるか。。」


 この損な役回りは、もちろん受付の戸田ちゃんに巡ってきた。みちる担当である。


「みちるさん♪どーしました?せっかくのかわいいお顔が台無しですよ??」


 聞かなくてもわかる。休み中に相当いちゃいちゃしたに違いない。働きたくねーんだろ?と皆思っていた。


「ああ…。戸田ちゃんか。ねぇ、人はなぜ一人で生まれてきて、最後も一人で旅立つのかしら。。どうせ2人で対なのだから、結ばれたならくっついたままで良いと思わない?」


「え、その答えは生きてるうちにはでませんよ。考えるだけ無駄です!それよりみちるさん!夏休み、どこ行ってたんですか?その自慢の胸に抱えてるお菓子はなぁに?」


「ああ、渡そうと思って忘れてた。これ、お土産…。ふぅ…。」


 みちるの実家の近くにある温泉場で買ってきた温泉まんじゅうを、みちるはFカップの胸に埋めて抱いたままだった。蒸したてのように温かくなっているやもしれない。多少潰れていても、それはそれで食べてみたいと戸田は思った。


「わーい、ありがとうございまーす。院長に先に持っていきますねー!」逃げろ!


 貰うものだけ貰って、戸田は走って逃げた。なにしろ、みちるがいつにも増して面倒臭かった。。


「妙ちゃん。今頃、よちよちと働いているのかしら…。ああ、かわいい。。」


 恋の病にかかったみちるが、あんよは上手な妙を想像している頃、、妙はよちよち歩いていた。


「さーて!やっとお昼休みだぁ!どこで食べよっかな…」


 妙は出版社の営業である。担当している作家がいる。可愛がられている妙は、作家の家でご飯を食べさせてもらえることが多い。


「このままピーチ先生のところに行けば、お昼ご飯もらえるかなー?麺類がいいなぁ。」


 なんて思っていると、うっかり天敵カオルに出くわしてしまった。


「あ、妙!お昼行くの?一緒に行こ♡」


「えー、担当のところで食べようと思ってるんだけど。」


「ピーチ先生のところ?私も行ってみたいな!」


「ダメだよ、急に2人分のご飯が増えたら、家政婦さんが困るから。」


 その時、社内にいた女子は無言で涙した。なぜなら、妙は短く髪を切っていた。朝からその話題で持ちきりであったが、ついにこの光景を見ることができたからだ。


社員A「ああっ・・・なんて尊い、、BLだわ、、」*違うよ

社員B「かっこ良すぎる・・・なんてBL、、」*だから違うって

社員C「ど、どっちがどっちなのかしら、、」*なんて?


 妙は全部聞こえていた。


(やっぱりこうなるのか、、髪を伸ばせば萌に間違えられ、、短くすればカオルとセットで倒錯の世界へと、、なんて理不尽な世界なんだ。。)


「カオル、、奢ってくれるなら一緒にご飯行くよ。中華が良いな。」

「え、やだよ。なんて奢らなきゃいけないんだよ。」


 大丈夫。これは妙の悪巧みだから。さぁ、くるよ。


「私たちが奢るので、皆で行きましょう!!」*女子社員一同


「え、何食べに行くんですか?それ次第かな、、」*腹黒い妙


「お寿司でも焼き肉でも!!」


「わかりました、行きましょう!!さぁ、カオル。奢って貰えるって。行くよ!」



 私、、強く生きるよ。みちる・・・。


 少しみちるに鍛えられたおかげで、あまり気にしなくなっていた妙だった。


 続く。

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