おまけep182 怪獣の檻に迷い込んだ気分!
「ねぇ、妙ちゃん♡」
「なぁに?末♡」
「末ね、学校の成績良いのよ?受験勉強だってばっちりよ?」
「うんうん。末は頑張り屋さんだからね。お姉ちゃんは末ならやれるってわかってるよ。」
萌と香織、そしてみちるを連れてやってきた実家に入るなり、末の部屋に連行された妙。ちょうどやさぐれていたところだ。かわいい末と二人きりで楽しく過ごそうと決めた。みちるには悪いけど、、いや。みちるなら大丈夫。つまらなくなったら迎えに来るに決まっている。
末のファンシーなぬいぐるみまみれのベッドを背もたれにして、妙が座る両足の真ん中にちょこんと座る甘えん坊の末を、妙は両腕でギュッと抱きしめる。
「おっきくなったねぇ。でも痩せ過ぎだし、標準より背が低いのかな??」
「150cmよ。ねぇ、高校に入ってからも背は伸びるかな?末ね、ロックバンドやりたいから、スラッと背が高くなりたいの。」
来た。。この会話が来てしまった。急に冷や汗だらだらの妙は、慎重に言葉を選んだ。
「そっか。末は、、たしかボーカルをやりたいんだったよね?」
「うん。ギターもやるよ!高校に入学したらお祝いにおばあちゃんがギターを買ってくれるって!」
「そっかぁ!いいね、ギター。大賛成だよ。末はピアノならもうプロ並みだし。あらゆる楽器をあやつるプレイヤーになるだろうね!」
「えへへ。そっかなー!まぁ、自分でも才能あるって思うし?」
「それで、、歌のほうは、、その、、自信があるの?」
言った。言ったぞ!末は生粋の音痴だ。末が生まれてこの方、この子の歌がかわいく感じられたことはない。。こんなにかわいいのに、、こんなにかわいい声なのに、、音程だけがこの子に味方しなかった。。今までどれほど家族一丸となってこのことを末に悟られないようにしてきたか…。
まるで、、人魚から人間にしてもらうために、魔法使いに声を奪われたかのように、、
「それがさぁ、妙ちゃん。一緒にバンドやる子がね、1度一緒にカラオケに行ったらそれから行ってくれないのよ。まぁ、受験勉強があるからね。高校が決まったら2人で猛特訓だわ!」
「ああ、あの子ね。」*158話に出てくる末ちゃんファンのエリカです。
そうか。あの子もきっと、どうしたら良いかわからないのだろう。。幸い、みちるがあのエリカちゃんと連絡先を交換している。一度連絡してみよう。
「あ、そうだ!末の高校入学祝いを決めたよ!」
「なぁに?妙ちゃんと二人きりで旅行とか?それとも、妙ちゃんちに一緒に住ませてくれるの?」
「え、いや、、えっと。違くて!ボーカルレッスンに通った方が良いんじゃないかな。令和の歌姫になる為には!!お姉ちゃんがレッスン代を出してあげるよ!」
「本当!!??令和の歌姫・・・そうね、やるならそのくらいにならないとダメよね!!」
「末、、高校の3年間。。勉強に、歌のレッスン、、きっと厳しい環境かもしれない。でも、お姉ちゃんは末なら出来ると信じてる!!」
「わかったわ!妙ちゃん!!最初に受賞したときのトロフィーは、妙ちゃんに捧げますとステージの上から言うわね!!」
「ああ、想像するだけで感動して涙が出るよ!!」
「妙ちゃんっ!!末、やってみせる!!!」
良し。あとは良いボーカルレッスンの先生を探しだ。。どれほど音痴でも歌が上手くなるようにしてくれるという口コミを探しまくろう。この決して開きはしなそうな運命のドアを、お姉ちゃんが無理矢理にでもこじ開けてあげるよ!!末っ!!
「たえちゃーーーん!!たこ焼きパーティーの準備ができたよー!」
「あ、みちるが呼んでる。行こうか、末。」
「うん、妙ちゃん。末が焼いたたこ焼きを食べてね?」
「うん♡もちろんだよ。」
そして数分後。
萌「おねーちゃん♡はい、あーん!」
みちる「ちょっと?萌ちゃん。私という妻がいますから妙ちゃんに構わなくて結構よ!妙ちゃんだってみちるに食べさせてもらいたいって!」
末「妙ちゃん!末が焼いたやつ食べて!!一番美味しいから!!」
妙「あ、はい。ゆっくり1つずつ頂きたいです・・・。」
香織「モテモテですね。笑」
妙「はぁ、、ぱく。・・・!!!????げほっ!!か、からいぃぃ!!!熱い熱い熱い!!!痛いっ!!」
志恵「あら。デスソース入り食べたのね!?それを食べたら一枚脱ぐルールよ!!」
妙「え、、聞いてないんですけどその話。。いろんな意味で胃薬が欲しい・・・。」
みちる「妙ちゃんの代わりに私が脱ぐ?♡」
妙「え、いや。熱いから上着だけ脱ぐよ。。なんで脱ぎたがってるの、、」
萌「見て?私最近、腹筋に自信あるの!」
香織「それなら私だってすごいよ、ほら!」
な、なんでこの人達…負けてないのに脱ぎ始めているの、、?
志恵「いいわね!半裸で女子会!こうでなきゃ!!」
妙「え、お母さん?脱がないで!!??」
萌「ビール飲んで良い?」
みちる「良いわね!」
香織「酒盛りだぁーー!!」
ええ…まだ昼なんだけど…。
なに?この乱痴気騒ぎは………
一人だけテンションの違う妙には拷問のような女子会であった。
続く。
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