おまけep180 恋人と二人きりの会話を他人に聞かれるのハズいよね
妙とみちるの夏休みは5日間。すでに3日が過ぎてしまった。4日目の二人は、妙の実家に行く約束をしていた。
そんな朝。いつも通り、朝の目覚めが良いみちるは目覚ましが鳴る前に起きた。朝が弱い妙はぐっすりと寝ている。
「んーーーっ!さってと。まずは妙ちゃんを堪能しますか♡」
朝のこの儀式は毎日欠かすことのないみちるのルーティンである。寝ていて何にも文句を言わない妙を好き勝手できるとっても楽しい時間である。
「んふふ♡かわいい寝顔してからに、、哺乳瓶を咥えさせてしまいそうになる。。」
みちる、、それは大人としてメンタルにちょっと堪えるから止めてあげて、、。幸いなことに、不審な哺乳瓶は見当たらない。仕方なく、みちるは妙のパジャマをめくって、妙のお腹に自分の顔を埋めた。
(あー、温かくて気持ちいい♡柔らかくて、良い匂いがして、温かくてすべすべ。これ以上、魅力的なものなんて世の中にあるかしら??たまにぎゅるるって音がするのも、妙ちゃんの生命の神秘を感じて萌えが止まらない、、。)
フゴフゴと息をしながら顔を擦り付けるみちる。妙はとっても寝づらいので、ごろんっと横向きになってしまった。
「あんっ、もうちょっとしてたかったのに。。仕方ない、、朝ご飯の用意でもしよ。」
今日は割と早めに解放された妙。無意識に布団を頭まで被ると、また深い寝息を立てたのだった。
「ホント、妙ちゃんって朝弱いのよね。やっぱり、毎日のストレッチを一緒にやらせようかしら。」
そんなことを言いながら、酵素ドリンクと水を朝一番に飲むみちる。看護師という職業柄と性格もあって、健康にはかなり気を遣っていた。対照的に、若さで今までなんの健康トラブルもない妙は、よく寝ればコンディションはばっちりだった。
「今日は、お昼ご飯は向こうのお宅で頂くだろうから、、朝ご飯は軽めの方が良いわね。フルーツとヨーグルトくらいで良いかしら。」
軽いストレッチをすると、朝食を準備する。コーヒーを入れて、妙を起こしに行こうとしたときだった。ピンポーン!玄関のベルが鳴る。
「え、なんでこんな早い時間に、、誰よ、、」
インターホンを見る手間を省き、玄関ののぞき穴から外を見るみちる。
「げっ。なんで?なんで突然来た??」
げんなりした顔をして、ドアを開ける。
萌「おっはよー!みちるさん。」
香織「おっはー!暇だから来ちゃった!」
みちる「なんなのよ、あんたたち。。今日は実家に現地集合だったはずでしょ?」
萌「だってぇ。それまで暇だから、こっちに迎えに来ちゃおうって!お構いなく。二人が支度するまで大人しく待ってるから♡」
みちる「もう。。いくら何でも早すぎよ。妙ちゃん、まだ寝てるもん。まぁとりあえず入って?」
香織「はーい。おじゃましまーす♪」
萌「眠そうなお姉ちゃんってめちゃくちゃかわいいよね♡早く起こしてきて?」
とりあえず、香織と萌が突然来てしまったので、みちるは用意したばかりのコーヒーを二人に差し出した。リビングで美味しそうにコーヒーを啜る二人。
「ああ、暖まる、、」
「ふぅ。落ち着く。。」
普段なら、ただ騒がしい二人だが、コーヒーに夢中になっていたんだ。そう、静かだった。妙にとって、誰か来ているなどわかるわけがなかったんだ。。
そして、妙は人に見せたくない朝のルーティンを見られてしまうことになる。
「・・・るー。みちるぅー!どこー?」
寝室からみちるを呼ぶ、甘えた声。香織と萌は瞬間で固まった。
「あ、妙ちゃんが起きちゃった。連れてくるね。はーい!いるよー♡」
さぁ、ここからが茶番だ。リビングで一部始終を聞いている萌と香織がいるのをお忘れなく。寝室から聞こえる声をお送り致します。
「起きちゃったのー?♡おはよう、妙ちゃん♡」
「うん、起きちゃったー。でも眠いよー。」
「あん、眠いね。でも起きてね?朝ご飯出来てるよ♡」
「ちょっとだけ抱っこー。。」
「おいでー♡いいこいいこ♡」
「みちるー・・・」
「かわいいねぇ、妙ちゃん。甘えん坊さんだねぇ♡」
「だって眠い~。もっとぎゅってしてー。」
「ぎゅー♡・・・あ、ところで。萌ちゃんと香織が来ちゃったんだけど。」
「・・・・・・・・・え?」
「リビングにいるよ。だから起きてね♡」
「・・・・・・・・・え?」
「ほら。お手々繋いで行こ?♡」
このあと、妙の羞恥心は限界突破し、もちろんひどい目に遭ったのだった。
萌と香織はこの時、
「コーヒー、ブラックで良かったね。」
「うん。甘過ぎるからちょうど良いわ・・・。」
とニヤニヤしていた。
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