おまけep168 みちるの生い立ち②
みちるが中学に入学した時のこと。
みちるが通う中学には、隣の小学校の卒業生も進学してきた。東小と西小みたいな感じで。まぁ、南小と北小だったんだけど。
共学だけど、また新しい女の子達と知り合えることにみちるは歓喜していた。大歓喜だった。イエスっ!
そして、この頃にはみちるは北関東でちょっとだけ有名だった。北関東って広いからね…。やけにかわいい女の子がいると地域ではB級グルメばりに有名だったんだ。
「ねぇ、みちるちゃんって呼んで良い?」
「本当にかわいいね!芸能人みたい~!」
と、こんな感じで、特にみちるが頑張らなくても女の子達は好意的だった。この辺りからみちるの性格は若干傲慢さが育っていくのだが、みちるはとにかく女の子が好きだったので表面には出さないようにしていた。
「えへ。ありがと♡でも、貴方だってすごくかわいいから、そう言われると照れちゃう!♡」
なんつってな。距離を詰めていったんです。特に好みのタイプの子にはぐいぐいと。そして、みちるは持ち前のコミュニケーション能力によって、入学から一ヶ月も経たないうちに、隣のクラスのかわいこちゃんに狙いを定めた途端に動き出した。
「ねぇ、名前なんて言うの?国語の教科書貸してくれない?♡」
「え、私?小松だけど。良いけど、友達に借りないの?」
「うん。かわいい子に借りたいの♡下の名前は?」
「え、私?名前は、花梨だよ。」
「そう。友達になりたいの♡タイプだから。花梨ちゃんのことが♡」
「え…。き、きゅん。。」
こうしてみちるは、かわいこちゃんに最初に話しかけた日には、相手に自分を意識させることに成功。翌日には付き合い始めた。すげぇな、ナンパ師みてぃる。。
「あーっはっはっは!彼女できたぁー!!嬉しすぎてホームルームで宣言してしまいたい〜!!」
ホームルームで宣言するまでもなく、みちるに彼女ができたことは、この叫びで知られることになる。ピンク色の勢いに、誰もが黙認した。さすがかわいいだけあると…。
みちるは甲斐甲斐しかった。お弁当を作ってきたり、手紙を書いたり、毎晩の連絡も欠かさなかった。
しかし、別れは突然に…。なぜなら、みちるはヤンデレだった。
「ねーぇ!なんであの子と仲良くしてるの?みちるより仲良く見える!」
「え、だってクラスに友達いなかったら困るよ!」
「みちるより仲良くしないで!」
「大丈夫だってば…。みちるが好きで付き合ってるんだから…。友達とは違うでしょ?!」
若気の至りであった。みちるは重かった。休日に連絡が取れないと休み明けに問い詰めた。
「ねぇ、なんで電話でなかったの?みちると話したくなかったの?」
「いや、親と出かけてて、、帰ってきて疲れて寝ちゃったんだよ…。ごめん。」
こんなやり取りが続き、
「ごめん、みちる。私はみちるにふさわしくないと思う。別れよう?」
「え…。他に好きな人ができたの!!?」
「違うよ…。私はみちるを不安にさせちゃうから…。ごめん…。」
花梨とは1年で別れた。みちるは数ヶ月落ち込んだが、やがてまた恋をした。そして、繰り返した。
「ってな調子で、高校を卒業するまで闇が深く重い女だったのよね…。あー、黒歴史。。でも、あれがあるから今がある。みちるは成長しました。そして、運命の人に出会えた。。」
元ヤンデレ気質みちる。
若干の素質をちら見せしつつ、妙の妹によって鍛えられたヤンデレ保護力に助けられながら、これからも逞しく生きていく。
そう決意して、隣で眠る妙の耳元で、
「捨てないでね…。」と呟いた。
健在。
続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます