おまけep164 意味がわからないときは思考の流れを聞くに限る。
妙とみちるの夏休み初日。
妙の希望によって目覚まし時計はセットされていない、のんびりする予定の朝。先に起きたのはいつも通りみちるだ。
「ん、やっぱりいつもの時間に目が覚めちゃうな。妙ちゃんは、、ぐっすりね。かーわいい♡まつげが歯ブラシみたい~!」
みちるは朝が得意である。そして、目が覚めて二度寝しようと思っても、隣りにいる妙の顔を見ると目を閉じることができない。
「かわいいなぁ〜♡美人は3日で飽きると言うけど嘘ね。3億年は飽きないわ♡」
いつもよりゆっくりと妙を観察できるみちるは、遠慮とか配慮、常識という観念を手放した。
「起こさなけれな、なにをしてもいいのよね?」
返事のない寝ている人にそう問いかけると、、みちるは妙の口の中に親指を突っ込んだ。
「バブー!きゃ~、かわいい!写真撮ろ♡」
そして次は、ほっぺでたこ焼きの形を作り、耳を畳んで餃子にした。
「ぷくく、、美少女でやるとそんなに面白くないわね…。それが逆に面白いけど。。さてと。朝ごはんの準備しよー。」
みちるは気の済むまで妙で遊んだあと、1人、起き出してキッチンへ。
今日は起こさないと約束していた。妙は早起きが苦手なんだ。休みの日に気の済むまで寝ていたいというのは妙の昔からの願望だ。
「腸内細菌がバランス悪いんじゃないかしら。。そうだ、乳酸菌を与えよう。忘れるといけないから枕元に置いとこ。うふふ、私っていいママね♡」
みちるは妙の寝ている寝室に行くと、枕元に乳酸菌飲料を置き、その可愛らしいコラボに悶え、家中にあるぬいぐるみを妙のそばに並べた。
「うん。眠り姫みたい。あんまり起きなかったらキスして起そう。」
2時間後、、やっと目が覚めた妙は、自分の周りを見て意味がわからなかった。
「・・・え?み、見守られている!!熊さん!うさぎさんっ!え?なんでヤクルトが??え、なんで首にいちご柄のハンドタオルが、、よだれかけ??」
なんか、こういうの久しぶりだな。最近は一緒にいるのも慣れてきて、平日の慌ただしさからこういうみちるの摩訶不思議はなかった。そう思うと、意味がわからないこの光景も、思い出となって笑って話すのかもしれない。おばあちゃんになったみちると。。
赤いよだれかけをかけてぬいぐるみに囲まれた妙は、まるで地蔵菩薩かのように悟りを開いた。そして、慈愛に満ちた微笑みを讃え、キッチンにいるみちるの元へ。
「あ、おはよー妙ちゃん。やっと起きたのね?」
「うん。素晴らしい朝の目覚めをありがとう。シルバニアの民は元に戻しておいたよ。」
「ヤクルト飲んだ?」
「うん。インナーチャイルドが喜んでる。ありがとうね。」
「7人いるからね。」
「全員、みちるが大好きだって。」
「ハーレムなのね。素敵・・・。」
妙はみちると暮らすことにマンネリを感じていたわけではなかったが、新鮮さを取り戻した。そして決意した。
「今日は、こんなに素敵な奥さんがいることをとことん満喫したい!」
「!!!???」
「どこにも行かずに、みちるだけを楽しむ日にする。」
「そ、それぞ、本望です・・・。」
「じゃあ、みちると心を通わせたいから、まずはなぜ今朝、私が地蔵菩薩になっていたか、経緯を聞かせてもらっても良い?」
「もちろんよ、、朝ご飯を食べながらみちるの全てをお話しします、、」
「良かった。じゃあ、朝ご飯ください。。」
「かしこまりました、、ご主人様!まずは人類が乳酸菌を見つけたときに話は遡ります。」
「・・・聞かせてもらおうか。」
なんなんだよ。続く。
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