おまけep158 バンドやろうぜ!は友達を作る魔法の言葉。

 八重子の恋人お披露目会の帰り道。妙とみちるは手を繋いで夜道を歩いていた。


「しかし、、笑子さん、香織にそっくりだったね。笑」

「うん。会う度にいろんなメイクして楽しんでるらしいよ。デートも化粧品売場で二人共楽しいらしいし。いろんな付き合い方ってあるもんだね。」


「みちるも、今度、萌ちゃんメイクしてもらおうかな?♡」

「やめてよ。。奥さんが自分とそっくりになったら複雑だよ。笑」


「ねぇ、ずーっと自分のことを好きだった人に別の恋人が出来るってどういう気分?寂しいとか思う?♡」

「ええ?っていうか、八重子はさ。隠れて追い回すだけで、現実に接点を持とうとしてこなかったから、、好かれてるって言うよりは執着されているって感じで、、。やっとちゃんと人と関わろうとしているのを見てホッとしているって感じかな。」

「そうよね。まぁ、学校一の人気者に恋をするって、告白したりする勇気ってなかなか出なかったのかもね♡」


「みちるだって、、私と出会ったとき、私がみちるに会いに行かなかったらそのままにしたんでしょ?」

「そうね、、お願いだから追いかけてきて!って必死に願ったけど、、確かにあのまま妙ちゃんが来てくれなかったら二度と会えなかったかも知れない。すごく後悔したと思うわ?妙ちゃん、追いかけてきてくれてありがとう♡」

「ううん。みちるが家まで押しかけて強引に彼女になってくれたから今があるんだよ・・・。私こそ、ありがとう♡」


 癖の強い会話をしているカップルである。

 さて。これで妙とみちるの周囲は一通り、幸せになったと思われる。


 これでしばらくはまた、2人だけのいちゃいちゃが待っているだろうと、2人はニッコリと見つめ合った。でも、そうはさせないぜ?だってずっといちゃいちゃだけだと話が続かないじゃん。。


「あなた・・・。辺りには誰もおりません。接吻を。。」

「みちる、、仕方ない子だ・・・」

「んーーーー♡」


「あ、あの・・・」

「え?」

「あ、続けてください。見てるだけなので。」

「うわぁっ!びっくりした!誰もいなかったのに!!」

「気配が薄いと良く言われます・・・。」


 せっかくの良い雰囲気の二人の足元には、しゃがんで2人のキスを見守る…中学生らしき女の子。


「さぁ、続けて下さい。」

「いや、えーっと。ごめんね、、気づかなくって…。」

「それより、こんな夜に1人じゃ危ないよ?早くお家に帰りなさい?♡」ジャマヨ?


「塾の帰りなんです。高校受験生なので…。」

「うちの妹と一緒だ。大変だね、こんなに遅い時間まで。」

「末ちゃんと友達だったりしてね♡」


「い、今、なんと・・・?」

「え?」

「す、す、すすすすす、、末って言いました?」

「あ、うん。妹の名前が末なんだよね。中3だよ。同じ学校だったりしてね?」

「あ・・・あああっ!!な、なんてことっ!あの美少女の、、お姉様ですかっ!」

「わっ。近い近い!うん、確かに美少女だよ。。知ってる?」


「私、、私、、、塾が一緒なんですっ!話しかけたくて、、でもずっと出来なくてっ!!ファンなんです!あのふわりとした髪!ぷっくりとしたフランス人形のような顔!!甘い声!どれを取っても奇跡っ!!!・・・ってうわぁぁぁ!!お、お姉さんもすんげぇーーかわいいぃぃぃ!!!!!どっひゃぁーーー!!!」



「う、うるさい・・・。ちょっと静かにして。。」

「あ、ごめんなさい!取り乱しました!!私、エリカって言います!」

「うわ。名前がトラウマ・・・。」*妙の元カノは絵理香。

「お願いです!!末ちゃんと仲良くなりたいんです!!お姉さん、取り持ってください!!」

「え、ちょっとそれは・・・。いくらなんでも、、」


 その時!大岡越前守がお見えになった!!

「お待ちなさい!話は聞かせてもらったわ!!」


「え、越前様・・・今は出てこなくて良かった気が、、」

「いいえ。恋する乙女が迷える子羊・・・。みちるそういうの黙ってられない。」

「ゴシップ好きだもんね・・・。」

「うん。週刊誌好き。エリカちゃん、、名前が気になるわね、、えっちゃん!」

「は、はい。え、美人。。」

「そうよ、スルーされるのかと思ったわ。美人よ!」

「お願いです!末ちゃんと友達になりたいんです!!付き合いたいなんておこがましいこは言いません!!せめて話してみたい!!」

「かわいいわね、いいわ。教えて進ぜよう。。」


「え、なんか教えるようなことある??」*妙困惑。


「みちるに任せて!末ちゃんにはこう言えばいいのよ!! 【末!バンドやろうぜ!!!!】ってね!」


「そ、そうか!末は本当はかっこいいのが好きだから!!」


「別にバンドはやらなくてもいいわ。でもそれで打ち解けられるはずよ・・・。」


「あ、ありがとうございます!!やってみます!!お姉さん!チャット交換してください!!」


「え~、そのくらいぐいぐい押せるなら末にそうすればいいのに・・・。」


「じゃあ、みちるが交換してあげる♡」*結果が知りたい


 ねぇ、みちる。言っておくけど、私。末に彼女とかまだ早いと思うし、出来たら泣くよ・・・。と妙は今、言いたくて言えなかった。



 続く。

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