おまけep155 大丈夫。私、追いかけるタイプだから・・・節
「ん、あれ?」キョロキョロ?
「あ、気がつきましたか?」
八重子と付き合えることになり、卒倒した笑子。おでこに冷えピタを貼られたまま、30分寝ていた。
「…すみません。あれ?なんで寝て…」
「はぁ。お付き合いすることになったらバターン、と。そろそろ救急車を呼ぶか迷いました…。」
「すみませんっ!ご迷惑を…!」
「いえ。それよりご飯、食べられますか?結構食べちゃいましたケド…」
「あの…本当に…その、、恋人に、してくださるので…?」
「はい。ですが私、お付き合いは初めてですので…笑子さんが愛想を尽かすかもしれませぬが…。」
「そ、そんなっ!ありえませんっ!って、え!?は、初めての、、彼女!?わ、私が!!?」
「はい。以前お話しましたように、長年の片思いをこじらせておりましたので…。」
「う、嬉しいです!!光栄です!!」キャー‼︎
「あの、お付き合いというのは、なにをするのでしょう?私、恋愛といえば異世界ものや、攻略ものばかりの知識でして…。」
「た、例えばですか…。えっと、で、デートを…手を繋いだり、、」
「はぁ、、敷居が高そうです。普通の恋愛ものを読んでみるか…。」
「も、もしも、、私なんかで少しでも、、その気になられたら…、た、た、例えば、いずれは、き、キスなども…。あ、すみません!先の話です!仮に少しでも、か、かわいいとか、す、好きとか…思ってくださったとしたらで…」
「笑子さんは、お綺麗ですよ?」
「そ、そんな…。化粧してなんぼの私なんて、、」
さぁ。経験値のない八重子だからこそできる、天然の女たらしをご覧ください。
「私も笑子さんも、化粧を愛しているからこうして出会えましたし、化粧も自分の一部じゃないですか。貴方はお綺麗です。ただ、私がフルメイクを施したら、、もっと、、」
そう言うと、八重子は笑子に近寄り、ナチュラルに笑子の顔を触り始めた。
「ふむふむ。毎日がっつり化粧をしていた割には肌がきめ細やかです。それと、、うん。パーツごとにはっきりしていますね。眉毛は、、むしろないからこそ、誰よりも自由なキャンパスです。」
「ひゃわっ!!あっ!近いっ!萌メイク、萌え〜〜〜!!!」ガクガクガクガク、、*膝から崩れかけている笑子
おもむろにメイク道具を取り出すと、八重子は深呼吸をして、獲物を狙う鷹の目になる。そして、八重子の背後には、桜の花びらが舞っていたとのちに笑子は語る。ヒラヒラヒラヒラ…
「いきます。コォぉぉぉぉぉぉ‥…、、、ちょわーーーーっ!!あいーーーーや!アタタタタタタタタ!ホワタ!あいーーーーーー!!ヤァっ!」
わずか、、数分のことであった。元のメイクは焦げついた鍋の焦げを落とす店頭実演のようにみるみる落とされ、新しいメイクはまるで孔雀の羽のように笑子の顔面に広がった。切ない眉毛、そして魅了の瞳、、唇はまるで、、赤い薔薇の宝石・・・。
「あああ・・・な、なんて素晴らしい、、光と影のダンス!!顔面花束ブーケっ!!」*どんなだ。笑
「ローーーーリングぅぅーー、、八重桜の舞ーーーー!!!へヤァっ!!!」
完成である。完成の中の、、完成である。
「す、すごい、、私は自分のメイクに自信がありました、、けれど、これほどの違いを・・・。やはり八重子さんは、、私の、、」
運命・・・とぅんく・・・ ジャジャジャジャーン‼︎
涙目で切なそうに八重子を見つめる笑子。この流れ、誰がどう見ても、恋の進展の瞬間。
だけど八重子は通常運転の恋愛未経験者であった。
「あー疲れた。ちょっと眠たいので今日はこれでお開きにしても?」
「え。。。あ、はい。ありがとうございました・・・。」
がんばれ、笑子。
続く。
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