おまけep153 笑子、落ちる。
お父さん、お母さん。笑子です。笑子は今、長年勤めた会社で頑張っています。
そして、今。人生で3つの指に入るくらいの、幸運を目の前にしています・・・。
「産んでくれてありがとう・・・。」*泣いている笑子
「え、?産んでませんが・・・。」*八重子、今日30回目くらいの困惑。
八重子は動画を撮影する準備をしていた。隣でそれを見守る笑子。ずっとモニターの向こうから見ていた。それが今、目の前にいて、最高のメイクを見せてくれるというのだ。瞬きなど、、できやしないっ!
「えっと、できたので、、これから撮影します。笑子さんをモデルにすることも考えたのですが、、会社員でしたよね。顔出しは良くないかと。」
「は、はい!ヤッコ様、、いえ、八重子さんはもう商業的な効果がございますから、、私の一存では無理です。。くやしい・・・。」
「では、見てて頂くだけになりますが、、始めますね??」
「はい!お願い致します!」
笑子は持ってきたタオルを噛んだ。感嘆の叫び声をあげないように。。
「では。ポチッとな。。」
八重子がカメラをまわすと、刹那まわりの空気が変わった。うつむいた八重子がゆっくりとカメラに向かって顔を上げる。。
「ヒヒヒ・・・。今日もヤッコのナチュラルメイク、始めるよ・・・。」
八重子はカメラの前でも話し方を変えることが出来なかった。だがしかし、相手がいないことにより饒舌ではあったのだ。
「これね、最近人気のベースファンデなんだけど、、凄く良かったから紹介します・・・。これがあればほとんどのシミは気づかれない。。じゃ、いくね、、」
あいーーーーやっ!!あいやぁぁぁぁぁ!!!からのー、アイャ‼
「ね、みて?もう見えないでしょ。。ヒヒヒ・・・。次、今人気の若手モデル、、萌さんのアイメイク。これね、、萌さんから直接教わってきたから、、やるね、、あと今度、チャンネルにでてもらえるかも。。」
堂々とした八重子の説明と動向を見ながら、笑子はタオルを噛みしめて、両手をグーに握りしめていた。うっすらと涙がにじんでいる。人が見たら誘拐された人みたいだからやめて欲しいと八重子は頭の中で思っていた。
(ああ・・・なんてカリスマ。なんて堂々とした解説。。これぞ本物。
そしてそして、、あのモデルの萌と接点があるなんて、、。萌のアイメイクは私も一目置いていた。若いあの子の目力にとても合っている。それをやるというのっ!?
来て良かった。キテヨカッタキテヨカッタキテヨカッタ・・・‼)
「ここね、あいーや。それでこの辺に、あいーや。ここまできたらあとは、あいーーーや!ほらね。萌の目になったでしょ?じゃ、今日はここまでね。サンクスバイバイ・・・。」
約1時間、動画の撮影が終わった。
「ふぅ。お待たせしました、、長かったでしょ・・・」
「や、や、や、、、、ヤッコ様、、、ぐすっ、、私、、わたし、、嬉しくて、、」
「そ、そうですか、、それは良かった。。本当に美容が好きなんですね。」
「もちろん、、美容は好きです、、だけど、、ヤッコ様のメイクをこのように目の前で見られたことが、、笑子にとって生涯忘れられない大切な思い出となりました、、」
「え、はぁ、、まぁ、ならよかったです。。あまりそう熱心に言われたことがないので良い返しができませんが、、。あ、お茶入れますね。」
八重子が冷蔵庫からお茶のペットボトルを持ってくる。茶葉から入れるようなタイプではない。無造作に、ペットボトルからグラスにおかわりを入れる八重子。その顔は、、
「き、綺麗・・・。本当に目が、、萌みたい。」
「あ、そうですか?実は友人の妹さんなんですよ。」
グラスを注ぐ間、八重子の顔は、笑子のすぐ近くにあった。笑子はじっとそのご尊顔を見つめていたのだ。そして、萌は友人の妹だと笑ったとき、八重子はとてもリラックスした顔をしていて、かわいく笑っていたのだ。
「きゅん。。」
「え?どうしました?」
八重子はダブルヒットを繰り出した。きょとんとした顔で、笑子に上目遣いを食らわせたのだ。目力、発動っ!
「とぅんく・・・」
「え?」
この時、2人は同時に別の思いで困惑していた。
八重子(日本語は難しいです。なにを言われたのかまるでわからない・・・。)
笑子(なに、、今の胸の高鳴り。。ちがう、、今までと何かが違う・・・。いや、私はもう気づいた。多分そう。これは、、恋。)
woh oh oh・・・キラキラシハジメター・・・
続く。
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