おまけep148 真夏の、八重子の春が来た。ヒヒヒ・・・
「では、ごちそうさまでした。素晴らしい最後の晩餐をありがとうございます・・・。」
「なんでそう、一々暗い言い方するの。。また原稿が上がったらご飯食べに来れば良いでしょ。」
「なんて優しいツンデレを。。八重子、一生忘れない、今日という日を。。」
「わかったわかった。じゃあね、お休み!」
優しさと厳しさをバランス良く八重子に与える妙。突き放すように玄関から八重子を追い出した。
「さて。みちるちゃーーん!お風呂入ろー?」チュキー‼
「きゃー!妙ちゃぁん!はいろーーー♡」チュキー‼
さて。今日はこいつらは放っておこう。今回の主役は地味陰キャ、藪睨みの八重子なんだ。
「素敵な彼女が出来ました。幸せです、ありがとうございます。素敵な彼女が出来ました。幸せです、ありがとうございます。素敵な彼女ができ・・・」
八重子は最近、引き寄せの法則で新しい恋愛を引き寄せようとしていた。繰り返し唱えているこの呪文。1日1000回以上唱えること今日で21日目。。
(妙さんほどの美しい人を諦めて、次に惹かれる人など今はなし。。こうして呪文を唱えるに限る。天命を待とう。ヒヒヒ・・・)
今日の八重子は大変機嫌が良かった。なぜなら、いつもなら自宅で一人、適当に済ませる夕食。そして会話などしない。妙とみちるとの一時は、この上なく心地が良かった。
「あ、そうだ。あとで銭湯に行こう。今日は八重子の記念日だから。」
愛する妙さん。そして恋するみちるさん。あの美しい存在が私の人生に与えられた。そのことだけでも感謝するべき。手に入らないなんて思わない。きっとこれが最上の手に入り方だったんだ。友人として、そして仕事のとり引き先として、、こうして妙さんたちと関わっていける。喜びしかないよ。。
身を清めたい気分で、八重子は一度自宅に帰ると、タオルや下着を手提げ袋に用意して、徒歩5分かからない銭湯へと向かう。気が向くとたまにいく銭湯だ。メイクは落とした。
銭湯に着くと、いつもどおりほどほどに人がいるくらい。大体が常連のおばあさんだ。なんとなく顔を覚えている。
八重子は服を脱いで、浴室に入ると、まず体を洗い、そして湯船に浸かった。
「ふぅ、、極楽です。。今日は原稿も仕上げたし、ぐっすり眠れそう。」
心から癒やされた八重子。全ての執着から解き放たれ、ジャグジーのジェット噴射から湧き出たような、、そんな引き寄せが起こるのはあと数十分後であった。
ミラクル八重子。まじで恋される、数十分前。
続く。
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