おまけep147 八重子、国宝級の写真集をお持ちしました。

 ナチュラルメイク動画でブレイク中の八重子に施されたメイクを洗面台で洗い流してきた妙が戻ってくると、、


「おかえり、妙ちゃん♡ゆで卵みたいにツルツルね!みちる、やっぱり妙ちゃんの素顔が一番好きよ♡」


「すっぴんでその美貌…。人類に見つかったら冷凍保存されそうですね。。」


「いや、人類と共に生きてきた人類だから…。じゃ、ご飯作るからみちると話しててね。」


 最近、仕事絡みでたまに会うようになった妙と八重子。聞けば八重子は普段、自炊もせずに出来合いのものばかり食べていると言う。


「聞いてよ、みちる。今日、八重子の家に原稿を貰いに行ったら、カップラーメンの食べ終わった容器が積み重なってたんだよ。。」


「妙さんが来るときは片付けていたんですけど、今日はうっかりしまして…。」


「それで八重子さんを連れてきたってわけね♡妙ちゃんが作るご飯はサイコーよ!楽しみにしててね、八重子さん♡」


そうと決まれば、みちるは冷蔵庫からボトルの白ワインを取り出して、八重子と酒盛りを始めた。それを横目で見ていた妙は、黙ってスッとおつまみを2,3品出す良妻。


「それにしても、、みちるさんの妙さんに対する溺愛っぷりはすごいですね。妄想が捗ります。」

「えへへ。大好きなのー♡」

「そんなみちるさんに、私が高校生の時から撮り貯めた妙さんの(盗撮)写真を厳選して少し持って参りました。どうぞお納めください。」

「え!いいのー!?うわぁ、人間としての羞恥心を保ちながら見れるかしら♡」


 妙はキッチンで料理しながら、こいつらは本人の許可を取るとか一切考えないんだなって思っていた。もう、やめろ、やめてくれと言う元気もなかった。


「この辺が、私の一番のお気に入りフォトです。」

「わ、わぁ!JKの妙ちゃんがお弁当食べてる!あ、こっちは勉強してる!え、下駄箱で靴履いてるー!!カワイイカワイイカワイイカワイイ‼」

「ふふふ。美しいでしょう?」

「うん、、八重子さんって、妙ちゃんのこと本当に好きだったんだねぇ。」


 みちるはぶっこんでしまった。そう、美しい妙を推しとして愛でているだけと、ファンを自称し続けた八重子であったが、その愛は永遠のように今でも続いていた。若かりし頃の八重子は自分が妙に恋をしていることを決して認めなかった。なぜなら、美しい妙と自分が釣り合うはずがないという自信のなさがそうさせていたからだ。しかし今、本当のことをみちるに言われ、八重子は訂正する気分にならなかった。


「そうですね、、確かに、私は妙さんを心から好きだったと思います。そして今でも、、。だけど、こうして幸せそうなお二人を見て、喜ばしく思える大人になった八重子であった。」


「八重子さん・・・。他に好きな人ができたりは?」


「そうですね、、これほどの美少女を好きになると、次というのが、、。ヴィーナスやモナリザの絵を見ると近い感情にはなりますが。。」


「わかる、、。妙ちゃんに出会ってしまったら他の人間を美しいと思うのが難しくなるわよね。。」


「ええ。だけど、八重子はみちるさんも推せます。これは新しい変化です。ぶっちゃけ好きです。匂いとか嗅ぎたい。みちるさんはみちるさんで写真集を作りたい。。」


「ん、良い話してたと思ったのに風向きが変わってきた?」


「八重子は引き寄せの法則を信じていますから、、お二人の仲睦まじい光景と美を脳に刷り込んで、いつか新しい恋をしようと。最近、思い始めたところです。八重子新章。。」


「そう、、応援するね♡」

「あ、今の笑顔。もう一度して頂いても?一番良いカメラを持ってきてますので。」

「いくらでも撮ってちょうだい!私は妙ちゃんみたいに顔でトラウマないから!体はちょっと、グラビア風だって言われるのが軽くトラウマだけど。」

「では、上目使いで谷間をちょっと寄せた感じのアングルは無理ですか?」

「あ、それ一番得意なポーズ。妙ちゃんが一番好きなアングルよ♡」

「では是非、お願いします。ああ、今日はなんて幸福な日だろう。。捗ります。」


 新種の友情が芽生え、白ワイン片手にグラビア写真撮影会が始まった。もう、なんでもいいかと諦めた妙は、甲斐甲斐しく、野菜中心の愛情料理をテーブルに並べていくのだった。


「さぁ、ご飯できたよ。八重子のデトックスのために、生姜を沢山入れた水炊きと、オニオンスライスと、キノコのソテーと、、」


「わぁ、、さすが妙さん。料理まで美しい。。八重子、また涙が、、」


「八重子さん、たまにうちにご飯食べにおいでよ。ね♡」


「ありがとうございます、、あの、一度で良いからお二人の間に挟まれて寝てみたいのですが、、」


「それはダメ♡」


「ならせめて、お二人が寄り添って眠る禁断のショットを撮らせて頂いても?」


「それはいいよ♡」


「おい、私にも聞けよ。全部ダメだっつーの。」*決定権をよこせとお怒りの妙 


「ああ、冷たい目、、好き。。」*みちると八重子


 


 続く。


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