おまけep144 シスコン×シスコン=まぁ平和
妙が末とおでかけする土曜日がやってきた。
土曜日はみちるは朝から仕事にでかけるけれど、妙は休みだ。みちるがいない1人でつまらない日にかわいい妹と出かけるのだから妙としては嬉しくて仕方ない。
「じゃー、みちるは仕事に行ってくるね♡」
「行ってらっしゃいー!仕事終わったら連絡してね?」
「うん。妙ちゃん、今日のほっぺは絶妙に可愛いから気をつけてね?街ゆく人も危ないけど、末ちゃんも危ないから。」
「大丈夫、みちるにしかプニプニさせないよ!」
がっしりと抱きしめ合うと、今朝は控えめに20回ほどキスをした。みちるが玄関を出ると、妙はきびすを返して妹と出かける用意をする。
「さってと、なにを着ていこうかなぁ~。2人で歩くと目立つから(2人ともかわいいから)、マスクをして帽子かな。」
るんるん気分の妙とは対照的に、みちるは通勤中にちょっとご機嫌斜めだった。
「なによ。デレデレしちゃってさ。いつもはみちるだけ仕事の日はもっとさみしそうにしてるのに!妙ちゃんのシスコンっ!」
嫁の不満、嫁知らずだった。
着替え終わった妙は、末を迎えに実家に向かった。通りすがりのショップのウィンドウに映った自分を見ると、帽子にサングラス、そしてマスクをつけた怪しい姿。誘拐犯に思われそうだと、サングラスは外した。
実家につくと、チャイムを鳴らす。しばらくすると、バタバタバタと大きな音と共に、末っ子末ちゃんが玄関のドアを開けて飛びついてきた。
「妙ちゃぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」
「わぁっ!よじ登らないでよ~!」
「早くお家入って!」
「はいはい。重くなったねー。」
米俵を抱えるように末を抱っこして、よろよろと玄関で靴を脱ぎ、リビングへと入る妙。
「ねぇ!あとちょっと待ってて!着替えてる途中だから!」
「わかったよ。早く支度しておいで?」
中学校三年生。受験まっただ中の絶賛ストレス溜めまくりの末。この世で一番大好きな姉とショッピングの日だ。テンションの高さは尋常ではない。初めて雪が降った日にお外に出してもらえたわんこのようである。ナンジャコリャァ‼
「あら、妙。お帰り~。」
「あ、お母さん。ただいま。ねぇ、末のプールのことだけど、、」
「わかっているわ・・・。何人、美少女を育てたと思っているの、、今回もぬかりはないわ。」
「そう。任せたからね?あの子が水着になるなんて、危険すぎる。。」
「妙。今日のミッションは重大よ?」
「わかってる。末が気に入る水着で、尚且つ露出の少ない安全なものを、、難しいけど努力します。」
「あの子は自分の破壊力をまだ本当にわかってないの。そろそろわかってくれないと、、」
「まだ恋愛を知らないからね…。家族で力を合わせて末を守りきらないと。。」
どうやらこの家にとってすんごい重い話のようだ。美少女って大変なのね。
しばらくして、末は妙とのデートだからと、フリフリのスカートを履いて登場した。
「見て?世界一かわいいでしょ?クイックイッ‼」
*大人ブルーを踊るかわいいの塊、末。
「ホントだー。世界一かわいい♡」
母と姉、拍手をしながらデレデレで末を迎える。
「よし、じゃあ行こっか!」
「妙ちゃん!スエ、お昼はお好み焼き食べたい!」
「わかった!お好み焼きね!末が焼くの?」
「2人の共同作業よ!あと手繋いでね♡」
「迷子にならないようにね♡」
「ママー!行ってくるね-?後をつけてこないでね!」
母、志恵。いつも心配で後ろからついて行ってるのがバレていたのだった。
そして2人は、大きなデパートへとやってきた。
「わぁい!ねー妙ちゃん?あのね、末はね、本当は水着を着たくないの。」
「え、そうなの?どうして?」
「だって恥ずかしいもん。だから、あんまり派手じゃないやつがいいの。」
妙は無言で天を仰ぎガッツポーズをした。良かった!初めから心配なんてしなくて良かったんだ。がっつり布多めの水着にしようね、末っ!!
「わかったよ。いろんなの試着してみようね?」
「うん!ねぇ、妙ちゃん?プリクラ撮りたい。いい?」
「もちろんいいよー♡」
「やった!萌ちゃん、いなくてざまぁ!」*素がでた
「ねー、残念だねー!みちるも来たがってたよ?」
「はんっ!私たちの仲を邪魔させるもんですか!盗人め!」*素は黒い
「え・・・、ど、どうしたの、末??」
「ううん、なんでもないよ?きゅるん♡」
「え、かわいい!天使だな!」
妹の腹黒さを何度見ても信じたくなくて気づかないようにしている妙であった。
続く。
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