おまけep143 出かけるだけで一騒動なの美少女って。
ある日、妙の一番下の妹である末が、妙に電話をしてきてこう言った。
「妙ちゃん!末、お友達とプールに行くから水着を一緒に選んで欲しいの!末のこの奇跡のプロポーションにふさわしい水着を!!」
「わかった!土曜日に一緒に買いに行こう!!お姉ちゃんとデートだ!」
妙にとって、目に入れても痛くないほどかわいい妹、末。実際に、フランスの絵画から飛び出してきたようなふわりとした美少女である。姉にとって一番気になるのは、露出の多い水着を着られることであった。
友達と一緒とは言え、あの美少女のことだ。好奇の目、いやらしい目で見られるかも知れない。誘拐でもされたらとんでもない。極力、露出が少なくてセクシーに見えない水着を選んであげないと!
姉は心底心配した。ああ、不安だ。いっそのこと、保護者としてついていくべきではないか・・・。そもそも、自分が中学生の頃はどうしていただろうかと記憶をたどった。どこにいっても美少女と騒がれ、外で落ち着いて過ごすことなどなかった妙。
「プールなんて、行かなかったよな。嫌な思いをするのが目に見えてたから。」*闇の深い過去。
ああ、行くなと言いたい。だけど、末はこの先も自分の体を守らなければならない。いろんな経験をさせることで自分で危険な場所と安全な場所を見分けられるようになるべきだ。
姉は悩んだ。大いに悩んだ。そして大岡越前裁きに頼ることにした。
「みちる~!助けてぇ!!」
「妙ちゃんっ!なんでもみちるに言って!!私たちは対なのだから!」
「実はかくかくがしかじかのあれそれで、、末の水着を選ぶんだけど、」
「なるほど。でも女の子は一番自分がかわいく見える水着を着たいものよ?」
「でもかわいいと人目にさらされて危険だよ・・・。」
「そうね。私も妙ちゃんが水着を着ていたときは、何人たりとも近寄せないつもりでいたわ。困ったわね、、あ。そうだ!内緒でついていったら良いじゃない!」
「それが、、夏休みだから平日に行くんだって。私、仕事だもん。」
「そうか。ちょっと待っててね。」
ポクポクポクポク、チーン。
「よし!これだわ!閃いた!!」
「え!さすが越前様!!して、その解決法は!?」
「萌ちゃんと香織を使えば良いじゃない!」
「そっかぁ!なるほど!じゃあ、明日焼き肉を奢って断りづらくしよう!」
「さっそく予約するわ!あとご褒美に今、みちるを愛でてもらって良いかしら?♡」
「おいで!智慧と愛欲の天使!!」
「っしゃ!思わぬ収穫!♡」
妙は、自分が末についていかない代わりに、みちるを大いに満足させた。「かわいいね」と「愛してるよ」を100回ずつは言っただろう。喉がかすかすになった。
そして翌日。萌と香織を呼び出して、焼き肉屋に行ったのだった。
「わーい、カルビカルビライス!野菜カルビライス!」
「お姉ちゃん、急に奢ってくれるなんてどうしたの?なにかお願いがあるんでしょ?」
察しの良い萌。妙は末の護衛が必要であることを説明した。
「なるほど。でもお姉ちゃん。その話はすでにお母さんから聞いているわ!」
「な、なんだって!すでに志恵が動いていたとは!!」
「志恵はすでに、いつ何時にどこのプールに誰と行くのかを把握済みよ!そして志恵withBが護衛に当たるわ!」
withBとは、志恵が厳選した何でも屋のマッチョ2人組である。
「あ、あの!withBが護衛に!!」
「妙ちゃん、その人たちは誰?すみませーん、ハイボールくださーい!」
「みちる、、私や萌がどこかに行くときにたまに護衛に当たってくれた何でも屋さんだよ。あの二人がいれば末は安全だ。なぜ気づかなかったのだろう、忘れていたよ!」
「ちなみにお姉ちゃん。志恵は私と買い物に行って新しい水着を買ってウキウキよ!」
「なんていらない情報。。でもしかし、これで安心だ。さぁ、どんどん食べなさい!お姉ちゃんが奢るから!」
たったこれだけの情報を知るために、高い情報量を焼き肉代として支払うことになった妙。みちるはチョレギサラダを抱えて食べながら、姉妹愛を微笑ましく眺めていた。*肉の前に野菜。ライスは重罪。ハイボールは水と一緒という信念のみちる。
続く。
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