おまけep142 ジェネレーションギャップにイライラしてはいけない

「はぁ~、、暑いね、みちる。夏ってこんなに暑かったっけ??」

「汗で瑞々しい妙ちゃんもかわいいわよ?シズル感がたまらないわ♡」

「ごめん、忖度した言い方をしたけど、、1回だけちょっと離れてもらってもいい?のぼせてクラクラするから。。」


 休みの日の朝。目が覚めたら、冷房も入れずにみちるにべったりとくっつかれて寝ていた妙。半分溶けたアイスみたいになっていた。


「あ、暑かった?ごめん、クーラー入れるね♡」

「うん、、なんでクーラー入れなかったの??1分で良いから1回離れて・・・。」

「みちる、暑いの得意だからへーきだったの。ごめんごめん。冷たいお茶持ってきてあげるね♡」


 冷房のスイッチを入れ、妙の体にフーフーと息をかけると、みちるはパタパタとキッチンへとお茶を取りに行った。


「うへぇ~、、汗でびちゃびちゃだ、、道理で悪夢にうなされたわけだ・・・。」


 年の差カップルには気温問題がある。ちょうど良い温度が季節によって違うのだ。


 ピッピッピ。妙は暑がりなので、冷房の設定温度を23度、24度くらいにしたがる。それをすると、必ずみちるが文句を言うのだ。


「あ~!妙ちゃん!冷やしすぎは良くないのよ!26度か27度くらいにして?」

「えーそれじゃあ暑いよ~!」

「お外に出たとき急に温度が上がると体に良くないよ?」

「ぶー、でも今暑いんだもん。。」

「じゃあ、冷たいシャワー浴びておいで?気持ちが良いよ♡」


 およそ5年後には、妙もみちるのように26度くらいがちょうど良いと思うようになるのだが、現時点では意見が合わない。この問題は都心の女性だけが集うバーではあるあるな問題なのだ。*当社調べ


 よろよろとベッドから起き出て、冷たいシャワーを浴びに行く妙。出てくるとようやく涼しげな顔でみちるにくっつきだす。


「あー、冷たかった。みちるの体温が温かい~!」

「もう!言うことがコロコロ変わるんだから♡」

「だって、さっきは暑すぎて悪夢を見たもん。しょうがないでしょ!」

「さぁ、スイカを切ったから食べよ♡」


 テーブルに移動すると、みちるには小さく二等辺三角形に切られたスイカが。そして妙には、半月切りの大きくカットしたスイカが用意されていた。


「え、なんでこんなに大きいの、私のだけ。」

「え?だって、妙ちゃんはわんぱくだからガーって食べるのやりたいでしょ?」*志村リスペクト

「や、私は皮を剥いたカットスイカで育った世代なので、そういうのはちょっと・・・。」

「じゃあ、みちるが種とって食べさせてあげる♡」

「うん♡」

「かわいい!はい、あーん?♡」

「あーん♡」


「ねぇ、みちる。あとでガリガリ君食べてもいーい?」

「今、スイカ食べたから夜までダーメ♡」

「えー、じゃあパピコは?」

「同じでしょ?糖分取り過ぎると妙ちゃん、1日眠いでしょ?」

「わかったぁ~」


「みちるは午前中のうちにジョギングしてくるけど、妙ちゃんも行く?」

「え~、疲れるからやだー。」

「運動してからお昼寝すると気持ちいいよ?みちるとテレビ見ながらゴロゴロしよーよ?♡」

「んー、じゃあちょっとだけ行く。。」

「えらいでちゅね♡」


 自分の失敗を経験値とし、看護師という説得力のあるみちるの言うことを、妙は信用しているので喧嘩にならない。ただ、ちょっとうるさいなと思っているけれど。


 このやりとりのおかげで妙の寿命が何年延びるのかは、誰もわからないのだった。


「でも、みちるの言うこと聞いていると、睡眠の質が良いんだよね。」

「でしょ?みちるは妙ちゃんの健康管理部長だからね♡」


 今朝はたまたま、悪夢にうなされたけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る