おまけep141 しつこい女って言わないで、、

 ある日の夜。お風呂上がりのみちるは鏡の前に立ち、真剣な顔をして悩んでいた。


「うん、童顔でかわいい。染み1つない肌、、しわもない。。そしてつやつやな髪に、このわがままボディ。。どこを取っても完璧なはず。。」


 みちるはまだ29歳、十分若い。しかし、周りにいるのが23歳の妙、そして20歳の萌・香織ときたもんだから、年齢的な自信の喪失をしていた。そしてキャラのせいなのか、どこに行っても扱いが雑な気がしていた。(実際に雑な扱い)


 みちるは下着姿で、お風呂上がりに部屋をうろうろしてみた。テレビを観ている妙の横で、下着だけの姿で軽くストレッチをしてみせるみちる。*セクハラ


(さぁ、妙ちゃん。見ていいのよ!みちるの体を見て!存分に喜びなさい、ムッツリーニョ!!)

 

 妙は奇跡の美を何ら努力せず維持している永遠の美少女である。唯一足りないものと言えばややちっぱいであることだけだ。しかしそんなことは気にならないほどの美しさである。だが、中身はかなりむっつりであった。


 ちら。じー。。

(ふふ、見ているわね、妙ちゃん。さぁ!みちるはあなたのものよ!どうぞ!お召し上がりください!)


「ねぇ、なんで下着でストレッチしてるの?風邪引くから早く何か着なよ。」

「え・・・。そ、そんな反応するとは、、もしかして…もうみちるの体には飽きてしまったの?」

「いや、ナイス谷間、ナイスおしり!…とは思ってるけど、、風邪引くからさ。。ほら、早くパジャマ着てこっちおいで?抱っこしてあげるから。」

「え〜!なーんかなぁーー!もっとぐいぐい来てたくせに最近そうでもないんだよなーー!!」

「またそういう、言いがかりを。。早くおいで?ちゅっちゅしよ?」



 みちるの心の声


(ああ、付き合い始めて半年が過ぎ、、もうすぐ一年になろうとしている。私たちの新婚具合も薄れてきたようね。。私たちだけはずっと新婚でいられると思っていた。でも違うのかしら。。


 最近の妙ちゃんは、お風呂に入る前に全裸になってうろつくようになった。私はそれがかわいくて好きだけど、前の妙ちゃんはもう少し恥じらいがあった。私に全てをさらけ出すこの子。嬉しい反面、それで良いのかと思うことがある。


 いけない、、このままでは、いずれ倦怠期が来てしまうかも知れないわ!いやよ!そんなの!私たちは永遠に泥のような溺愛カップルでいたい!鮮度の良いみちるを引き出さねば!!)


「妙ちゃん。。みちるの好きなところ、10個言って?」*まさかの悪手。

「ええ・・・。今?テレビ面白いのに。。」

「そ、そんな、、ついにテレビの方が良いと言われた。。」

「ちがうよ、もう~。いつだってみちるが一番だよ?だから一緒に居るんでしょ?」

「そうだけど、、もっと新婚さんらしくいちゃいちゃしたいの。。」

「してるじゃない。こうやって抱っこして毎日ちゅっちゅしてるでしょ?」

「ううん。もっと好き好きビームが来てたもん。最近の妙ちゃんはあまりないもん。」

「そんなことないってば~!みちる以上の人なんて絶対現れないし、毎日みちるがかわいくて大好きだよ?」

「言うのは簡単だもん!態度が前と違うんだもんっ!」*もう止まれない


 久しぶりの駄々っ子みちるを抱っこしてあやしながら妙は思った。


(またこの発作が出てしまったのか…。こうなるとみちるは長い。何を言っても文句を言う。。さて、どうしたものか…。そろそろ私も、このみちるを簡単にいなせるようにならなければ、いずれ倦怠期が来てしまう!)


「……みちるの好きなところは、、」

「…え?」

「とにかくかわいいところ。」

「う、うん。」

「あと、世話焼きなところ。ご飯が美味しく作れるところ。」

「うん…。」

「それから、エッチの相性が世界一良いところ…。」

「うんっ!それで?」

「胸とおしりが最高」

「あとは?」

「声がかわいい。語尾がハードなのも好き。」

「あとは?♡」

「えっと、、しつこいくらい溺愛してくるとこ。」

「うん♡あとは?」

「頼りがいがある。包容力。あと、キスしてるときの顔が蕩けてて好き。」

「そんな顔…してる…?」

「試してみる…?」

「妙ちゃん…♡」


(ああ、今日のところは上手く機嫌が治りそうだ…。テレビ、見たかったな。)


 教訓。

 嫁が愛を求めているとき、テレビを観たがってはいけない。


 続く。


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る