おまけep136 令和の内助の功と言えばみちるなの

「妙ちゃん!みちる、もう限界なのっ!お願い!二人きりになれる場所に、、そう、二人だけで遠い場所へ行きたいの。貴方と私だけでっ!!」

「みちる…。わかった!誰も邪魔させやしない!!二人だけでどこかに逃げようっ!!!!」


 この物語はただの茶番である。しかし、この二人にとっては真剣に切実な問題だったことだけは知らせておこう。もう…いちゃいちゃが枯渇していたんだ、、。


 みちるの嘆き。


 最近の私達、、周りに大切な人が増えてきて、毎日がとても賑やかになった。それはとても良いことよ。共通の知り合いが増えて、益々私達夫婦は、絆を深めている。


 でも、私達は永遠に恋人であり、新婚でいたいの。海の見える公園で、初めて口吻を交わした日に、そう誓い合ったのだから。*え、そうだっけ?

 二人きりで、見つめ合うだけの時間、、それだけで満たされる愛の深さを感じたいのっ!!*毎日朝晩してる。


 この週末、誰にも邪魔させないっ!させるもんですかっ!!私にとって、妙ちゃんの愛を一心に受ける時間は必須!妙ちゃんの魅了に自らかかりに行き、、沼から出られなくなりたいの…。*絶賛ずーっと沼の中。


「というわけで、みちるの中のチルドレンみちるが限界なので、土曜日有給取りました。一泊ででかけたいです!」

「お、おおっ!有給取ってくれたんだね!!わかった!誰にも言わずに行こう!!みちるはどこに行きたい?」


「あなた・・・。みちると駆け落ちする覚悟を決めてくれたのね?嬉しい…。そうね、、最果てが良いわ、、。愛の終着駅。もしくは愛の最上階。」

「む、難しいね、、離島とかかな、、。」

「いいえ。妙ちゃん。無理は言わないわ。そんな感じの名前のホテルに泊まるだけでもいいの。田舎にならきっとあるわ。」

「た、たしかに。。みちるの実家があるあたりなら、、ありそうだ。」

「ダメよっ!北関東はだめっ!邪魔が入るに決まっているもの!!!あと海の幸がないわっ!!」

「くっ、、なんてこった。。でも負けないよ、みちる。この週末はきっと、二人だけで過ごしてみせる!!海鮮が食べたいんだね??」

「妙ちゃん、、優しいのね・・・。うん。刺し身がいい。」

「当たり前だよ、愛しているんだから、、みちる・・・。えーと、レディース割、海鮮、旅館、、っと。検索検索…。」


 このやりとりで一旦、大満足した二人は、一週間を大変機嫌良く過ごした。そしてついに土曜日がやってきた。早朝。

「早く!駅まで走るわよっ!妙ちゃん、ちょっとそのかわいさだと目立つからボリューム下げてっ!」シュタタタッ

「えっ!?かわいいのボリュームってどうやって下げるの???」シュタタタター!!

「くしゃっと丸めたレシートのつもりでいてっ!」

「わかった!嫌いにならないでね?でもみちるも目立ってるよ!」*顔をクシャッとした

「わ、わかったわ。みちるも使い終わったラップの芯になりきるから!!」*目を細めた


 何事もなく二人は駅に着く。やがて到着した電車に乗ると、ようやくホッと溜息をついた。


「別に誰も邪魔してこなかったねー!!」

「ええ。私達の深い愛に運が味方したようね!!」

「楽しみだね!熱海〜!温泉にお刺し身〜!♡」

「嬉しいのね?妙ちゃん。。貴方のその笑顔を見るためなら、みちるは嘘でもなんでもつくわ…。いえ、なんでもない。。」

「ん、え?」

「なんでもないわ。さぁ、新幹線に乗り換えるわよ?この手を離さないでっ!」

「はーい。焼売弁当〜!♡」

「妙ちゃんは焼売の皮だけ先に食べるの好きだもんね♡」

「グリーンピース全部取ってね!」

「うふふ、ママに任せて♡」


 その頃、萌の家では。

「香織~、今日どうする?お姉ちゃんの家でも遊びに行く?」

「あ、なんか、二人ともウイルスにやられたらしいから行っちゃダメだって。」

「え、そうなんだ、、ちぇー。大丈夫かな、、後で電話してみよう。」

「なんか、光が眩しくてスマホが見られないから連絡しないでってー。」

「そっかぁ。大変だね二人して。。」


みちるの心の声

(ごめんね、、でも私たち、恋のウイルスにやられているから、、嘘ではないわ。)


 その頃、カオルの家では。

「ねー、絹子。妙んち遊びに行かない?」

「ダメよ。行ってもいないわ。」

「え、そうなの?どこにいるか聞いてみよっかな。」

「ダメよ。私、買収されてるの。ここにいなさい。」

「え、どーいうこと??」

「うるさい。いいから洗濯干しなさい。」

「は、はい。。」


みちるの心の声

(絹子さん、ありがとう。後で私、水着着るからね。。)



 みちるの内助の功は執念だった。


 続く。

 


 


 

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