おまけep126 久しぶりにただの茶番です!
「お久しぶりです、カオルさん。イヒヒヒ」
萌の隣で不気味に笑う女性こそ、田中絹子の永遠のライバル、鈴木八重子であった。
二人は学生時代、漫画研究部に所属し、絹子が部長、八重子は副部長であった。
妙とカオルをモデルにした百合作品は初めは二人の合作であった。初めて妙に見つかってしまったとき、漫画研究部は妙の権力により廃部にされてしまった。*妙は魅了を使えば簡単に先生を説得できたチート持ちである。
創作を諦めきれない絹子と八重子は写真部に所属した。妙とカオルの合成カップル写真を作る傍ら、百合漫画を描き続けた。しかし、漫研が廃部になったことをきっかけに、二人の方向性に亀裂が入る。
「絹子、私はもっと、きわどいエロを追求したい!」
「八重子。私は大道のピュアものしか描かないわ!」
こうして、二人は別々に作品を描く道を選んだ。
鈴木八重子は陰気くさかった。前髪で顔を隠し、薄顔でやぶにらみであった。それなのに百合漫画業界の美人作家トップ3と言われているのは、韓国メイクを勉強して動画配信しているからである。今日はすっぴんなので昔の面影が強く、カオルは八重子だと気づくことが出来た。八重子はすっぴんになることで有名でもあちこちを練り歩くことが出来る。
玄関からリビングに通されると、予定していない見知らぬ人がいたので一同は思い思いの反応をした。
「え!?や、八重子っ!なぜここにっ!」
ライバルが現れて動揺する絹子。
「え・・・?お、お前、八重子なのかっ!?」
また毛を逆立てた猫の様に警戒しだした妙。
「あ、せっかく機嫌直ったのにぃ。怖くない怖くないよ、妙ちゃん♡」
妙をかわいがれたらなんでも良いみちる。
「え、この人が木綿豆腐冷やヤッコさん?」
この人達といると普通に見えてしまう香織。
「萌ちゃん、どうやって八重子と出くわしたの?」
「えっと、私が撮影を終えて秋葉原に漫画を買いに行ったらそこで八重子さんがサイン会をしていたの。それで、漫画を買ってサインしてもらって、終わるのを待って一緒に来たって感じ。すごいんだよ?サイン会の時はメイクしてて、終わったらすっぴんになって別人みたいになったのー♡」
「久しぶりね、絹子。。そして、妙さん。相変わらず世界一美しい人・・・。ダンジョンで触手攻めしたい・・・。」
八重子はカオルに興味がなかった。そして妙に歪んだ愛情を持っていたのだった。
「妙さん、そちらの方は?もしかして、、妙さんの・・・。」
「あ。みちると申します。妙の愛妻です♡」
「な、なんてこと。。定期的に興信所を使って調べていたというのに、、気づかなかった。。妙さん、こんなに美しい人と・・・。」
「こ、興信所だって??まだお前は私をストーカーしていたのかっ!?」
「人聞きの悪い・・・。リサーチです、漫画のための。」
「も、もしや、、お前も私を使って百合を・・・!?」
妙がなぜか手に持っていたたまごボーロの袋を開けて八重子に投げつけようとしたその時だった。*かわいいの塊
「みちるさんっ!!大岡をっ!!」
香織はとことん面白がっていた。
「そうね、わかったわ!」
みちるはなんなんだろう、、特になにも考えてない?
「ちょっと待って!妙ちゃん!皆も聞いて!!」ザザッ‼
「え、越前さま・・・。」ハハァ‼
なんなんだよ。笑
「まずは、八重子さんの漫画を読んでから。それから裁きを与えましょう。萌ちゃん?買ってきたのよね?」
「うん。おこづかくれてありがと。これ、おつりとレシート。」
「み、みちる・・・。まさか、萌に百合漫画代を・・・。」
「ええ。読んでみたい。」ワタシノイシガユウセン
「そ、そう・・・。えっと、私、寝室で寝てるから皆帰ったら起して?」
もう、いいや。なんでも。って小さい声がした。
みちるの大岡越前は、決して解決しているわけではないけど、なんとなくその場は静まる裁きだということにそろそろ皆気づいていた。。
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