おまけep124 絹子氏豆腐メンタルじゃなかった件

「田中ぁぁぁ!!お前だけは許さないぞ~っ!!!」ウォリャァァァ‼


 妙の家の玄関のチャイムが鳴り、玄関を開けて田中が現れた途端に飛びかかろうとする妙。


「わ、妙ちゃんがあんなになってるの初めて見たぁ♡」

 どんな嫁も知りたい溺愛嫁、みちるは嬉しそうにそれを見た。いや止めろよ。。

「え、え~!いきなりなんですか!?サインしにきたのにぃ。。」

 怯える田中。ドアの後ろに隠れる。

「やっほー妙。遊びに来たよ~♪」

 呑気なサンバ女、カオル。


 みちるに抱きかかえられて妙は居間にずるずると引きずられ、、田中とカオルは香織によって居間まで案内された。萌は仕事であとからやってくる。


「わーい、絹子さんにサインもらえるなんて、嬉しすぎる~♡」

 久しぶりに登場のマドンナみちる。喜びまくり。

「おまっ、おまえぇぇぇぇっ!!カオルと私だけならまだ許せたっ!だけどお前っ!も、萌と私であんなっ・・・しかも現在連載中って・・・!!!家族の絆が壊れたらどうしてくれるんだぁぁぁぁぁ!!!」

 

 この勢いにはさすがのみちるも驚いた。

「す、すごい。。どう猛なパンダってみたことないけど、こんな感じかなぁ・・・。」

 タエチャンイイコイイコドウドウ♡


「確かに・・・血の繋がった妹とねっとりラブロマンスのモデルにされていたら気まずいってのはわかるね・・・。」

 自分の彼女がモデルになってるのは別に気にならないらしい香織。


「すみません。黙って創作を続けていたことは謝ります。だけど聞いてください、絹子の願い。」


 私。高校の頃は自分の容姿が嫌いでした。冴えない顔だし、おしゃれも疎い。頭の中は一面の百合畑。そんなとき、カオルを見て、王子様だと思いました。

 でも、王子様にふさわしいのはお姫様です。もしくは悪役令嬢。あともしくは側近の騎士、それかメイド。もしくは突然現れた天使でしょうか。。あ、隣国の王子様という説も捨てがたい、、あ。で。私はとうていふさわしくないのだからと、妙さんとの創作を描くことによって、自分の願望を満たしていました。


 だけど、描いても描いても満たされませんでした。一方で、同人誌は馬鹿みたいに売れていく。八重子は私をライバルとして敵意メラメラってる。。あーなんかな。なんかな。って思いながらも、望まれるままに描き続けました。


 大人になって、だんだんと周りの人間が変わりだして、、私は有名人。友人もかわいいアイドルや女優さん。きらびやかな世界。だけど家に帰ればカオルと妙さんのことを未だに描き続けていた。孤独な絹子・・・。


 変わろう。もう、やめよう!そう思って、私は妙カオルカップルの話を完結させました。そしてそんなときに、私に新しく作品を描いてくれ!出版させてくれ!と熱意をもって現れたのが新しい担当のカオルだったんです。。


 そして、私は、枕営業を持ちかけました。今すぐ抱いて!と。すんなりOKでした。そして私は恋人になることを条件に新しい作品を描くと言いました。カオルは喜んでOKでした。なんなら別に条件を出さなくても付き合えたなって。割とカオルもノリノリだったなって。


 そして、私はカオルへの片思いを何年ごしかに成就させました。すごくない?今思ったけど、この話を描けば良かったよね?あはは。

 で、思いついたのが、妙と萌の禁断の姉妹愛シリーズでした。


 なんていうか、ごめんね?

 あ、でも。私、これで生活できてるからやめられないし、、あと、妙さんにとって私って、会社の取引先として結構重要な相手だと思うのでその辺もよろしくお願いします。



「以上です♡」


「お前も悪いじゃないか!カオルゥゥゥゥゥ!!!!」妙泣き叫び、

「でも妙、私とカップリングされたときだって、だんだん慣れてくると普通に読めるようになってたじゃん。とりあえず、全巻読んでみなよ?結構切なくていいよ~?」


「妙ちゃん。。あのね、みちるは妙ちゃんを誰かに渡すなんて考えたくもないけれど、、この漫画だけは違うって言うか、、とにかく萌えときゅんが溢れているの・・・。ちょっとだけ読んでみて?特に、萌が飲んだペットボトルを隠れて間接ちゅーしようとする妙のシーンはとにかくすばらし、」


「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!変態じゃないかぁぁぁぁぁ!!!」



 パンダの赤ちゃん、妙。生まれて初めて感情を爆発させた日だった。


 続く。

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