別伝 カオルと萌の知られざる密な関係

 そんなこんなで、私が絵理香と付き合い始めてしばらくは、萌が口を聞いてくれなくて、、まじでへこんだよ。。だからって、萌のために絵理香と別れるって訳にもいかないし、心を鬼にしてというか、、萌だっていつか恋をするんだし、いつまでもお姉ちゃんにべったりじゃ困るって思ってたんだよね。


 後になって少しは話してくれるようになったんだけど、それでも前みたいにくっついてくる感じではなくなった。放課後、私が絵理香といると、萌はカオルといるようになった。もし、萌がカオルを本当に好きなら、私が止める権利はなかったんだけど、私が絵理香といるからなら、、そんな風に誰かと付き合って欲しくないなって、、勝手だけどお姉ちゃんはそう思ったんだよ。


 だけど、実は私の知らないところで、絵理香は萌やカオルに嫉妬していたんだ。仕方ないんです。萌がべったりだったのは周知の事実だし、カオルとカップリングまでされて皆が好き勝手噂していたから。


 そんなところに絵理香が現れて、周りの人だって良く思っていなかった。絵理香は萌やカオルにちょっとマウントしたりしてたらしいんだ。そして、


「妙ちゃん!カオル先輩と二人きりになるのは嫌!」

「妙ちゃん!私、萌ちゃんとは仲良く出来ない。。」

「妙ちゃん、不安なの。今日はずっと私といて!」


 こんな風に束縛が始まったんだけど、、本当に私のせいだと思うんだよ。だから、絵理香のことは悪く言いたくない。だからって、付き合うのは限界になっていた。だから、一度別れた。学校を卒業してからよりを戻すことになるんだけど、、それはまぁ、カオルの話と関係ないから、また次の機会に。。


 それで、萌はカオルと結構一緒に居て、このまま行くと2人は付き合うのかなって思ってた。だけど、、私とカオルが卒業間近な頃。そう、絵理香と別れたのもその頃だ。萌は急に明るくなった。多分、私が絵理香と別れたからなんだよね。。それで、急に自分を磨きだした。


 びっくりするくらいかわいくなったんだよね。そして、雑誌モデルに応募して、本当にモデルになってしまった。そこでカオルは本気で告白して付き合わないと、萌が離れて行ってしまうと思ったわけ。


「萌ちゃん。本当に好きなんだよ。付き合って下さい。」

「カオル先輩、、ごめんなさい。人としては大好きだけど、恋人としては無理です。」

「試しにでも良い。一度付き合ってみてほしい。それでダメなら諦めるから。」

「ごめんなさい。それも無理です。でも、私が寂しくていじけている間も、ずっと一緒にいてくれて本当にありがとうございました。感謝してます。」


 カオルがどう足掻いても、萌は首を縦に振らなかった。


 そして卒業と同時に、本気で傷心したカオルは、、1人で旅に出てしまった。


「妙。私、ここには居られない。萌ちゃんの居る東京には。。居ればきっと、いつまでも追いかけてしまう。だから、出稼ぎに出るよ。静岡のみかん農家から熊本のポンカン農家まで、そして北海道の牧場へ。。」


「え、まじ?」


「うん。本気の恋だったんだぁ。もう、誰かを好きになることなんてないかもしれない。そのくらい、、萌ちゃんが好きだった。。」


 そう言って、カオルはそれきり会えなくなってしまった。

 ただし、最初の半年くらいは、名古屋のういろうとか和歌山のポンジュースとかが萌に送られてきた。私は、ちょっと自分の責任も感じていたのでカオルに申し訳ない気持ちがあった。


 でも、カオルはとにかく顔が良かった。だから、半年後からは各都道府県に1人ずつ、港港の女を作って旅をしていたらしい。計算が合わないからおそらく、、数股していた可能性が。。だって、3年で一ヶ月ごとに彼女を変えても都道府県の数に満たないんだよね。。そのへんは、何が真実なのかわからない・・・。


 そして、再び出会うのが、私が勤めている会社に、カオルが中途採用で社員として入ってきたときだった。。


 知らなかったんだぁ。。うちの会社の専務が、、カオルの父親だなんて。。そういえばブラジル人だったなって。。苗字同じだなって。。


「妙っ!!やっぱり私たちは親友なんだね!!こうやって、また再会する運命だったんだ!!ハグしてっ!!」

「あ、うん。ソウダネ。ハグハグ。」


 ってことなんだけど、みちるに会わせてもしもカオルがみちるに恋でもしたら、たまったもんじゃない。だから、一緒に萌を連れていこうって思ってるんだけど、、


 そっちのほうがまずいのかなって。・・・でも、まぁ、、いいかなって。。


 とりあえず、属性が似てるから、、みちるだけは渡せないんだよね。。

 ま、みちるは私にぞっこんだから、大丈夫だとは思うけど!


 次回、妹を生け贄にする妙。

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