別伝 みちるに言わないでね?ハーレム築いてたんだ♪
高校二年に進級すると、妙は水を得た魚のように機嫌が良かった。
「おはよー!妙!」
「あ、カオル。おはよー♪」
同じクラスになった二人。朝の登校でばったり会うと、一緒に歩き出した。
「きゃあっ!!見て!!あの二人が一緒に居る!!超ラッキー!」
「うわ。本当に?やっぱりあの二人がこの学校で一番美しい・・・。」
「た、妙先輩・・・。カオル先輩と。。。やっぱり二人は噂通り恋人なの・・・?」
すっかり親友モードのお互いに恋を感じることが出来ない同じ属性の二人をよそに、ざわついたのは他の生徒達。特に、入学してきたばかりの新1年生だった。
「妙先輩っ!おはようございます!」
「あ、おはよー。」
「カオル先輩!!今日、お昼一緒に食べませんか!?」
「うん、いいよー♪クラスまで迎えに行くねー!」
二人は水を得た魚。否。年下の恋する目で追いかけてくるかわいいを得た年下甘えた好き属性だった。
「まだ6月なのに、すっかり妙は1年生に人気だね。」
「カオルだって、、毎日連れて歩く子が違うじゃん。」
妙は陸上部に在籍していたが、基本早く家に帰って妹の面倒を見たかったため、あまり部活に参加していなかった。それでも妙と近づきたい下級生が陸上部に在籍し、異常な数の部員になってしまった伝説が今でも語り継がれている。
妙は美化委員会に在籍していた。これもまたさっさと終わらせては家に帰っていた妙だったが、運良く美化委員を選んだ各クラスの女子は妙がいることを知って歓喜の涙を流した。これも今でも語り継がれている。
「でもさすが妙人気はすごいよね、、。休み時間の度に後輩が用事を作っては会いに来るし。よし、今日も下駄箱を開ける瞬間に立ち会える!」
下駄箱の前に着くと、妙がまず下駄箱をあける。今日のラブレターは5つ。そしてカオルが自分の下駄箱を開けると、ラブレターは3つだった。
「ほら。妙の方が多い~!なんでだろ。私の方がみんなに優しくしてるのに。。」
「それが良くないんじゃない??でも毎日そのくらいラブレター入ってるって普通ないよ。さすがたらし。」
妙は、こどもの頃から妹たちの勢い余った求愛を受けていたので、年下に甘えられることに自分の存在意義を見いだしていた。
カオルはかわいい子達にキャッキャ言われるのがとにかく好きだった。
みちるに出会う前の妙はこんな感じだったのだ。モテを謳歌している調子に乗った魅了チート持ちのただの美少女だった。
しかし、カオルはいろんな女の子と遊びたいタイプだった。それ故、特定の彼女を作らず、毎日色んな子と遊んでいた。
妙は早く家に帰りたかった。妹たちといたかったからだ。なので特定の彼女は作らなかった。
それがなおさら、二人が恋人同士である噂に信憑性を持たせたのだった。この二人に叶わぬ恋をした下級生の数は、まるで軍艦に乗ったとびこの数のようだと、、これもまたこの学校の都市伝説として今でも語り継がれているという。。
続く。
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