別伝 恋を勉強中だったパンダベイベー
語り手、モテ謳歌していた妙
高校二年になって後輩が出来ると、ちやほやされて困る反面、私は少し意識の変化があった。それは、いつまでも妹の世話をし続けて、甘やかしすぎるのは問題ではないかと思ったこと。それと、自分も恋をしてみたいと思ったんだ。
そう思わせてくれたのがカオルだったんだよね。
「ねぇ、妙もたまには一緒に遊びに行こうよ?」
「んー、でも家に帰って末たちの面倒を見ないと、。」
「えー、でも、お母さん家にいるんでしょ?なんで妙が毎日見ないといけないの?」
「だって、妹たちが私がいないと寂しがるから・・・。」
「それってさ、甘やかしすぎというか、共依存というか、、妙だってもうそろそろ恋して自分の世界を楽しんだって良いんじゃない?」
「そ、そうだけど、、。」
確かに。私は妹たちが寂しがるからとずっと言ってきたけど、本当は自分が妹たちのそばにいたかっただけなんじゃないかと気づき始めていた。
だからって、今好きな人がいるわけではないし、遊びに夢中になるようなものもない。そうか。私は妹たちといるのが一番楽しかっただけなんだ。
恋かぁ・・・。好きになるってなんだ?告白してくれる子達の違いはなんなんだろう。みんな同じことを言って好意を伝えてくれるけど、、。
そんなとき、私にとって「ちょっといいな」って思う後輩が出来たんだ。私がカオルとクラスにいると、他の女子の敵意をものともせずに会いに来る、そう、A子ちゃんということにしておこう。
A子ちゃんは私の部活の後輩で、いつもB子ちゃんを連れて二人で私に会いに来ていた。カオルはB子ちゃんを気に入っていたので4人でいるのがすごく楽しかったんだ。私はついに恋愛が出来そうな気がしていて、カオルと4人で放課後遊びに行くまで成長したんだ。
その帰りは、家の方角的に私とA子が、カオルとB子が二人で帰ることになっていた。二人でいるのはとても楽しくて、、私はついにこの子と付き合ってみたいという気持ちになっていた。そんなときだった。
「妙先輩、、実は私、カオル先輩が好きなんです。相談に乗ってもらえませんか?」
がーんときましたね。A子はカオルが好きだった。もうがっかりしましたね。へぇそうなんだ、、わかった応援するよーなんて言ったと思うけど、内心初めて失恋してショックでした。だけどその翌日。
「妙先輩!ずっと好きでした!!付き合ってください!!」
そう告白してくれたのはB子だった。
恋愛ってこんなことがあるんだと、、少し大人になった出来事だった。でも、A子のことがあったからすぐに好きになれなくって、B子の告白は断ってしまった。あんなに胸が痛かったのは初めてだった。
そして、カオルもA子に告白されたけど、B子が好きだったから断ったんだよね。
それ以来、ちょっとだけ二人はライバル的な、そんな感情も芽生えたんだ。
つまり、ぜーったい私とカオルが付き合うことはなかったんだけど、相変わらず裏では二人の恋の同人誌が出回っていた。
そんな高校二年の秋だった。
続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます