別伝 浮気しない妙でラブきゅんを楽しむ方法を見つけたのでお納めください。

 漫画研究部 田中@名無し絹子のメモ書き

 保健室の先生

 巨乳、口元にほくろ、タイトスカートから時折見える蝶のタトゥー

 夜の源氏名は狂い咲き夜桜 本名はヨネ。


-------------------------------------------------------------------

 語り手 魅了チート持ち妙


 そんなこんなで、私とカオルは百合のカップリングとして百合育ち百合好き達の餌食になっていた。

 カオルは私に対して恋愛感情は持たないものの、私の顔がとにかくタイプらしくて、一緒に居るのを好んだ。


 ただ、私は学校が終わればすぐに家に帰って、妹たちの世話をしなければならなかったから、放課後はあまり一緒に遊ぶことはなかった。



「妙ちゃん、これから何人かで遊びに行くけど一緒に行かない?」

 例のごとく、カオル目当ての女子達が数人揃って、カオルの後ろでキャッキャ言っていた。そんなのについていっても楽しくないに決まってるんだ。


「いや、妹の世話があるからいいよ。誘ってくれてありがと。」

 そう言うと、私は興味なさそうにしてとっとと教室を出て帰宅を急いだ。


 自宅に帰ると、いつも通り、中学生の妹、萌と、小学生の妹、末が待ち構えていて、交互に愛情をかけてやらないといけない。一苦労だ。


 夕飯を終えて、今日は萌と末が一緒にお風呂に入ることになった。私はやっと解放されて、自分の勉強をしようと自室にこもった。すると、スマホに一件の通知が入っていた。


「ん?ああ、カオルか。えっと、なんだって??」

 メッセージを見ると、

『女子がなかなか帰らせてくれないから、迎えに来て欲しい。お礼ならするから!』


 はぁ?なんで私が、、。今、20時だよ?

 カオルは奔放で、夜遊びが好きだ。私は夜遊びなんてほとんどしたことがない。小学生の末にとって教育に悪い姉になんてなりたくないんだ。


『やーだよー!』

 さ、これでもう放っておこう。そう思ったんだけど、

『おねがーい!学食3日間奢るから!ちょっとしつこい子がいて困ってる!』

 ああ、恋のトラブルなのね、、仕方ないなぁ。学食か。悪くないな。


『今回だけだからね?』

 そうメッセージを送ると、私は上着を羽織って、妹たちがお風呂にいる間に外に出た。


 場所を聞いたら、家から歩いて15分くらいのところだった。どうやらカラオケをしていたらしい。楽しそうだね、高校生活を謳歌してるじゃないか。

 ううん。私だって萌達とカラオケとかいくし。末なんて童謡歌わせたら天使だからね。


 そうこう考えながら歩くと、カラオケボックスの前に着く。すでに店から出てたむろっているカオルの集団はすぐに見つけることが出来た。


「おーい、カオル!そろそろ帰るよ!?」

「あ、ああっ!妙っ!ありがとう迎えに来てくれて!じゃあ、そういうことだから!帰るね!みんな、バイバイ!♡」


 最後までカオルの腕を掴んでいた女子を無理矢理引き剥がすと、カオルは私の方へ駆け寄り、うれしそうに私の手を引っ張って早歩きでその場から逃げ出したんだ。


「はぁ、、よかった。ありがとう妙!ちょっとしつこく言い寄られてたから・・・。」

「え、いいじゃん。いつものことでしょ?ハーレムの一員にしたら良かったじゃん?」

「いやぁ、それが、束縛系の子なんだよね。ちょっと重すぎて、、。」

「ふーん。まぁいいけど。ていうかこのまま帰るでしょ?ここら辺でもういい?」

「あ、妙ちゃん。せっかくだから、ちょっとくらいお茶しようよ?」

「えーまぁいいけど。妹たちに黙ってきたから泣いてなきゃ良いけどな。」

「え、そんなにシスコンなの?」

「うん。どがつくシスコンだから。私のこと大好きだから。」

「へぇー今度会わせて、って、あっ!!やばい、後ろからあの子、追いかけてきてる!!」

「うっそ、まじで?か、隠れる??」

「う、うん。こっち来て!はやくっ!!」


 カオルは私の手を引くと、薄暗い路地裏に入ってビルの壁際に身を寄せあった。

「ねぇ、、カオル、、ちょっと、近いし・・・」

「しぃっ!!少しだけ待ってて!あ、今そこにいるから!!」

「もう、、早く通り過ぎてくれ~!!」


 数十秒、経ったろうか。

 気がつくと、私は壁際に、そしてカオルは私を包むように抱きしめていた。


 カオルは私より少し背が高い。良く見ると本当にかっこいいな。その辺の男よりモテるのはわかる。端正な顔をしているし、、


「ん?妙ちゃん?どうした?じっと見つめちゃって。」

「は?別に、見てたわけじゃないよ。そろそろ良くない?」

「んでも、今のままもうしばらくいるのも悪くないなって。」

「なに言ってんの?暑苦しいんですけど、、」

「本当に?離した方がいい?」

「え、いいに決まってんじゃん。何を言って、」

「ねぇ、妙ちゃん?私たちが付き合えば、、もう誰も何も言えないと思うんだ。」

「は?カモフラージュってこと?」

「ううん。本当に、付き合っちゃう?」

「わかったから。冗談は良いからさ。もう行こうよ!」

「妙ちゃん、、一度だけ、このまま、、」

「え、?な、なに顔を近づけて、、ちょ、近いって!あ、ああっ!」


「妙ちゃん、、」

「カ、カオル・・・」




「ねぇ、カオル。これなに?漫研、廃部にしたよね?」

「廃部された漫研の部員が写真部に入って、合成写真付きで配られている漫画です。これは妙ちゃんの分!♡」


「まじかよ、キスしてんじゃんこの写真。よく出来てんなぁおい!」


 好き勝手やられた高校一年だった。



 続く。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る