別伝 インナショスクでブイブイ言わせてそうなイケ女

 カオルと出会った日は、途中まで一緒に帰った。下校途中の同級生や先輩が、足を止めてこちらを眺めていたのをよく覚えている。


 私は家に帰れば二人の妹が我こそがと抱きついてくるから、恋愛についてはあまり興味がなかった。自分が一番下の学年ということもあって、上級生は特に私を優しく甘やかそうとしたけれど、長女でシスコンの妹を持つ私には慣れない、苦手なものだった。


 カオルは器用で、年齢に関係なく、自分好みの性格の女の子を見つけるのがうまかった。そして、特定な彼女を作らずに、まるでハーレムを築きたいのかと思うくらいいつも、周りに女子を侍らかしていた。


 だから、私になんて構わなきゃいいのにと思うんだけど、、


「はぁーぁ。妙ちゃんの顔が1番タイプなんだけどなぁ…。」

「私はカオルの顔、別にタイプじゃないよ?」

「ひっど!まぁ、付き合うとなるとなんか違うと思うし、そばにいて見てるだけでいーけどねー!あ、でもキスはしてみても良い??」

「は、やだよ。」

 

 なんて、どこまで本気なのかわからないことを言いながら、理由をつけては私のクラスにやってくる。うっとおしいけど、ひどく嫌なわけじゃない。そのくらいの関係だった。それを一生懸命壊そうとしてくるのが周りの、、ファンクラブだった。


「妙ちゃん、知ってる??うちらのツーショット写真が校内で出回ってるらしいよ?」

「は?え、意味わかんないんですけど、、。盗撮写真ってこと??」

「うん、ほらこれなんて良く撮れてる、、」

「え、持ってるの!?見せなさい!」


 カオルのスマホに送られてきてた写真は、私とカオルが顔を寄せ合って話をしている写真と、カオルが後ろから私に抱きついている写真と、あとあと、、なんかとにかく、、カップルに見えるんだよまじで腹立つっ!!


「すごくない?うちら、すごい尊いよね?ベストカップルじゃない?見た目だけなら。。」

「ぐぐっ、、確かに、、アアンアンとかの雑誌の表紙になりそうな・・・。」

「いい?見てて?今、私が妙ちゃんにキスするフリをするよ?」

「は?え、やだよ、。って、ちょっとっ!まってっ!!」


 私の嫌がるのを無視してカオルが顔を近づけたその時、あちこちからシャッターを切る音がした。ピロリンポロリンチャラリンカシャカシャチーン


「え、うわ。こわ。」

「うそ、はや、こわ。」


 そのくらい、うちらはなんか、尊かった。


「い、今の見た・・・?い、意識が飛びそう、、」

「す、凄いものを見た、、まるで宝塚の名シーン。。」

「わ、私、、カオルのこと好きだけど、、今のは尊ひ、、♡」


 私の友達まで泣いて喜んでいた。。


 続く。


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