別伝 カオルとの出会いだけどきゅんとかないからね?
語り手 パンダベイベー妙
カオルと出会ったのはそう、、中高一貫の女子高で、ほとんど同じメンバーで高校に進学したときだった。
ごくわずか、別の中学から進学してきたなかに、カオルはいた。
確か、私は1組で、カオルは4組だった。新学期が始まるとすぐに、、奴はやってきた。
「すみませーん、噂の奇跡の美少女はどこですかー?」
私のクラスの出入り口で、そう叫んだ一人の女の子。ぶっちゃけ、私は他の学年にも噂されるぐらいだったから、いつものことだと思ったけれど、カオルはあまりにもぐいぐいと来たんだ。
「妙ちゃんでしょ?あそこにいるよ。ほら、一人だけ光ってるでしょ?」
「あ、ほんとーだぁ、すっごいオーラ。笑 ありがと、君もかわいいね!」
「え、あ、そんなっ・・・♡」
「あとで、4組に会いに来て??仲良くなろ??」
「あ、うん。。」
カオルは東北から東京に引っ越してきたばかりで、この高校を選んだらしい。女の子が好きだから女子高にしたと言っていた。ブラジル人と日本人のハーフで、目鼻立ちは端正極まりない。髪は茶髪で癖っ毛のショート。学校のジャージを履いて、上は白いシャツにパーカーを着ていた。とにかくチャラい。
「妙ちゃん、こんにちは!うわ、本当にかわいいね。うわさに聞いて、仲良くなりたくてやってまいりました。よろしくね?」
しゃがんで妙の机に顔だけ乗り出して、にっこりとほほ笑むカオル。大抵の女子なら軽く恋に落ちるのだが、、妙は違った。
「あ、うん。よろしく。えっと、なにちゃんかな??」
ピーーーーーーーン。
二人の間に、なにかシンクロニティの電波が走った瞬間だった。
((この子、、私と同じ匂いがする。。))
二人の直感は正しかった。
この二人、属性は、かわいい女の子を甘やかしたいというところが共通点。この時、妙は年下好きでちょっと重く恋焦がれてくる子が好物だった。カオルはオールマイティーのなんでも恋だった。
つまり、甘えてこないこいつ、一ミリも興味なし。という結論が潜在的な野生で導き出された二人。
「カオルって言うんだ。よろしく。妙ちゃん、すっごいかわいいんだね。みんなが学内イチのモテ女だと言ってただけあるな。」
「みんなが言ってるだけだけど、、。それにしても、カオルちゃんもなんだかかっこいいね。モデルみたい。」
「お父さんがブラジル人なんだ。だからちょっと顔が濃いよね。笑」
なんて話した初日。
この時、この二人の光景を見ていた生徒たちは、神々しいカップリングに息を詰まらせた。推せる、。推せます。。推させてください!と。
この女子高で一番の美少女、妙。そして二番目のイケメン美少女、カオルのカップリングが爆誕した瞬間だった。
「ね、妙ちゃん。今日、放課後遊びにいこー?」
「え、うーん。早く家に帰らないとなんだよね。」
「じゃあ、一緒に帰るだけでいいから。」
「うん、じゃあ、わかった。」
妙にとって、この軽くてチャラい誘いは、全然ドキドキしなかった。そして割とどうでもよかった。なぜなら、愛する妹たちのために早く家に帰りたかった鬼シスコンだったから。
カオルにとって、妙は甘えてくるタイプじゃないと察しがついたが、顔だけはタイプだった。目の保養に、そばに置いておきたいと思った。
大して相性の良いわけでもない二人が親友にまで仲を深めることになるのは、単に周りが二人をカップリングして尊みを味わいたいがために騒ぎ立てたからなのだった。
二人は思った。
みんな、目が節穴なんだよね、、だってこいつ。同臭しかしないから!
続く。
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